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田中 徳太郎 作品展

「白鷺」



伊東 きく代
 JCIIフォトサロンでは、来る2008年4月29日(火)から5月25日(日)まで、田中徳太郎作品展「白鷺」を開催いたします。

 埼玉県にある「さぎ山記念公園」にはかつて、国の特別天然記念物に指定されていたほどの白鷺の営巣地(さぎ山)がありました。長年勤めた国鉄職員を40歳で退職し、浦和で写真店を営んでいた田中氏は、1954年にこのさぎ山で見た白鷺の幻想的な美しさに魅了され、この翌日からほぼ毎日さぎ山へ通いつめ、少しでも白鷺に近づくために10メートルを超える大きな撮影櫓を建て、当時は手に入りにくかった1000ミリを超える望遠レンズを特注し、その生態を撮影しました。
都市化に伴う宅地開発等によって、残念ながら1972年に白鷺はこのさぎ山から姿を消してしまいましたが、「白サギの美しさ、鳥の形の美しさを、カメラによつて探求し、紹介しよう(『白サギ』東京中日新聞発行、1961年)」と発心し、16年間撮影し続けた田中氏は、白鷺の優美なフォルムや白く美しく輝く翼を、数多くモノクロフィルムに焼き付けました。これらの作品は貴重な生態記録であると同時に、芸術作品としても国内外で高く評価され、ニューヨークのメトロポリタン美術館や近代美術館、フランス国立古文書館にも永久コレクションとして収蔵されています。

 本展では、空を羽ばたく白鷺の姿や、翼を大きく広げた求愛のダンス、仲睦まじいカップルの姿など、白鷺の営みに向けられた、田中氏の深い愛情と温かいまなざしが感じられる作品、約90点(すべてモノクロ)をご覧いただきます。


●田中 徳太郎 (たなか とくたろう)


1909年埼玉県北葛飾郡幸手町(現・幸手市)生まれ。40歳の時、24年間在職した国鉄大井工場を退職し、浦和で写真材料店を開く。1954年より浦和市郊外野田(現・さいたま市緑区上野田付近)のさぎ山に渡来する白鷺の撮影を始める。1956年にアメリカタイムライフ誌、ニューヨークタイムズ誌など諸外国の雑誌に白鷺の作品が紹介され、1958年にはニューヨーク近代美術館とメトロポリタン美術館に各1点ずつ、1982年にはフランス国立古文書館に50点が永久コレクションとして収蔵された。国内外で展覧会多数開催。1961年にフランス文化大臣賞、第11回日本写真協会年度賞受賞。写真集に『しらさぎ』『白サギ』『白鷺―天空のファンタジア』など。1989年11月13日逝去、享年83歳。


 
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