写真展

真継不二夫 作品展 「美の生態」

開催期間:2019年6月4日(火)2019年6月30日(日)
真継不二夫作品展「美の生態」
FORM〔Ⅰ〕 1950年

 JCIIフォトサロンでは、来る2019年6月4日(火)から6月30日(日)まで、真継不二夫作品展「美の生態」を開催いたします。

 真継不二夫(1903-1984)は、芸術写真の作家として活躍した後フリーランスの写真家となり、第二次世界大戦中は、海軍特別報道班員として江田島の海軍兵学校、海軍予備学生、海兵団などの撮影に従事しました。戦後は女性のヌードに美を追求し、造形的な人体表現で高い評価を得ています。

 本展では、真継が写真集にまとめたヌード作品を中心に、オリジナル・プリント40点を含む54点(すべてモノクロ)を展示いたします。

 戦中の不自由な写真表現から一転し、戦後に解放されたヌード写真は瞬く間に大衆化して、多くの写真家がモチーフにしました。戦前から女性ポートレートに定評があった真継はヌード写真をいち早く手掛け、1948年に『美の生態』(大泉書店)、1950年に『美の生態Ⅱ』(双芸社)と2冊の写真集を出版しています。

 エログロナンセンスの世にヌード表現が暗中模索を続ける中、「裸体に真正面から取組んで、その内包する美を追求し、表現してゆきたい」(『美の生態』)と彼は明確な目的意識を持って撮影に臨みました。巨岩の陰にまどろむ女体、月明かりに輝くしなやかな曲線、可憐な花のように咲き誇る女性のポートレートなど、女性特有の柔らかなフォルムやラインをとらえながら内に秘める生命力や人間的な魅力に迫ろうとしています。

 戦争で若き学生たちが出陣する姿を目の当たりにし、命の儚さを痛感していた彼ならではの力強くも美しい作品ばかりです。敗戦直後に撮影された、焼け跡の東京や金属供出をまぬがれた軍服装の銅像、そして、造形的に構成された植物と昆虫などの作品も合わせて見ることより、生命の美を表現することによって自らを再び奮い立たせようとする真継の姿が浮かび上がることでしょう。


真継 不二夫  (Fujio Matsugi、1903-1984)

1903年京都府亀岡市生まれ。本名は藤三郎。独学で写真を学び、写真雑誌の月例や懸賞、写真美術展への出展などで多くの賞を獲得。1931年、婦女界社写真部長に就任。1935年フリーランスのカメラマンに転身。1942年より海軍特別報道班員として海軍予備学生、海兵団等を撮影・取材。戦後は造形的なヌード表現で高く評価され、アマチュア写真の指導にも携わった。1984年逝去、享年81歳。

[写真集・著書]
『芸術写真作画の実際』(玄光社、1933年)、『ライカ撮影全集』(玄光社、1938年)、『女を写す』(玄光社、1939年)、『報道写真への道』(玄光社、1942年)、『海軍兵学校』(番長書房、1943年)、『美の生態』(大泉書店、1948年)、『美の生態Ⅱ』(双芸社、1950年)、『ああ江田島海軍兵学校』(大泉書店、1964年)、『学徒出陣―海軍予備学生の記録』(朝日新聞社、1966年)、『海軍特別特攻隊の遺書』(KKベストセラーズ、1971年)ほか。


★この展示に合わせて、写真史家・写真評論家の飯沢耕太郎氏をお招きし、本展企画担当の白山眞理との講演会「戦後のヌード写真と真継不二夫」を2019年6月9日(日)に開催いたします。お電話にてご予約受付中です!

タイトル

真継不二夫作品展  「美の生態」

開催期間

2019年6月4日(火)~6月30(日)

展示内容

占領期に刊行された写真集『美の生態』(大泉書店、1948年)などに収録のヌード作品を中心に、オリジナル・プリント40点を含む54点(すべてモノクロ)を展示。
女性特有の柔らかなフォルムやラインをとらえながら内に秘める生命力に迫るヌード作品、敗戦直後に撮影された焼け跡の東京、造形的に構成された植物と昆虫など。戦争により命の儚さを痛感していた真継が、自らを奮い立たせて生命の美を表現した不朽の名作。

展示点数

54点 (全作品モノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。