写真展

土田ヒロミ作品展 「ヒロシマ・コレクション」

開催期間:2022年7月26日(火)2022年8月28日(日)
ワンピース
寄贈:1974年1月30日/寄贈者:小川リツ(小川節子さんの母親)/570×820mm
小川節子さん(当時21歳)は第五師団司令部(爆心地から790m)で朝の体操中に被爆。縮景園に逃げたが、火の勢いを避け京橋川に浸っているところを兵隊に助けられ、師団司令部に収容された。9日、似島に転送されたが、11日に死亡。この絹のワンピースは、上着とモンペの下に着けていたもの。
学生服
寄贈:1970年9月29日/寄贈者:佃恒子(佃昭夫君の母親)/1000×570 mm
佃昭夫君(当時中学1年)は、学徒動員として、中島新町(爆心地から600m)の建物疎開作業中に被爆。8月8日、父親が昭夫君の行方を探し歩いた際、木の枝にひっかかっていたこの服を発見し、持ち帰ったもの。遺体は行方不明。

 JCIIフォトサロンでは、来る2022年7月26日(火)から8月28日(日)まで、土田ヒロミ作品展「ヒロシマ・コレクション」を開催します。

 1971年よりフリーランスの写真家として活躍中の土田ヒロミ氏は、「俗神」「砂を数える」「ウロボロスのゆくえ」など、日本を問う作品を発表し続けています。今回は、1980年代に撮影を始めた〈ヒロシマ・コレクション〉シリーズより43点(全てモノクロ)をご覧いただきます。

 被爆から30年以上経って原爆の痕跡が見えにくくなっていた1970年代半ばに、「ヒロシマ」の現在を記録すべきという思いを抱いた土田氏はヒロシマの撮影を始めました。体験者107名に取材した〈ヒロシマ1945~1979〉、原爆の遺跡の風景を記録した〈ヒロシマ・モニュメント〉、そして、広島平和記念資料館に収蔵された被爆者の遺品などを記録した〈ヒロシマ・コレクション〉です。共通するのは記録に徹する姿勢で、特に、今回ご覧いただく〈ヒロシマ・コレクション〉は、モノクロームで撮影した遺品と短い説明文という、徹底的に感情を排した構造で制作されています。

 ワンピース、学生服、弁当箱、防空頭巾、時計、軍帽、スリップ、モンペの上着、半ズボン、下駄、リュックサック、トランク、皮ベルト……。さまざまな立場の被爆者が身に着けていた遺品ひとつひとつが、白バックの中に浮かび上がります。これらの作品は、身に着けていた個々の人生に思いを巡らせ、このような形で時が止まった事実を突きつけ、そして、これを後世に伝えようとする者は何をすべきか等を、静かに、強く、訴えてきます。土田氏の「脱表現による表現」である〈ヒロシマ・コレクション〉は、遠くなりつつある歴史を重層的に現在に引き戻す、深く重い作品となっています。

★この展示に合わせ、土田ヒロミ氏によるギャラリートーク「ヒロシマ・コレクション」を語るを7月29日(金)に開催いたします。ぜひお申込みください。(※要予約)

土田 ヒロミ(つちだ・ひろみ)
1939年福井県生まれ。1963年福井大学工学部卒。ポーラ化粧品本舗入社後、東京綜合写真専門学校で学ぶ。退社後、フリーランスの写真家として活動。傍ら、東京綜合写真専門学校校長、大阪芸術大学教授、ニコンサロン運営委員などを歴任。2016年より金津創作の森美術館館長を務める。

【主な作品集】
『俗神』(オットーズ・ブックス、1976年)、『ヒロシマ(アサヒカメラ増刊)』(朝日新聞社、1983年)、『砂を数える』(冬青社、1990年)、『新・砂を数える』(冬青社、2005年)、『土田ヒロミのニッポン』(産経新聞社、2007年)、『BERLIN』(平凡社、2011年)、『フクシマ2011-2017』(みすず書房、2018年)など。

【主な受賞】
第8回太陽賞(1971年)、第40回日本写真協会賞 年度賞(1984年)、J・C・J奨励賞(1986年)、第3回伊奈信男賞(1987年)、第27回土門拳賞(2008年)、2022年日本写真協会賞 功労賞(2022年)など。

【作品収蔵】
東京都写真美術館、東京国立近代美術館、ボストン美術館、テートモダン、カナダ国立美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、ポンピドゥー・センターなど。


タイトル

土田ヒロミ作品展 「ヒロシマ・コレクション」

開催期間

2022年7月26日(火)~8月28日(日)

展示内容

モノクロームで撮影した遺品と短い説明文という、徹底的に感情を排した構造で制作。ワンピース、学生服、弁当箱、防空頭巾、時計、軍帽、下駄など、さまざまな立場の被爆者が身に着けていた遺品の静かで強い訴えが、遠くなりつつある歴史を重層的に現在に引き戻す。

展示点数

43点(全てモノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。