写真展

林忠彦が見たアメリカ 1955年

開催期間:2025年4月1日(火)2025年4月27日(日)
ティーンエージャー ロサンゼルス 1955年
ニューヨーク 1955年

 JCIIフォトサロンでは、来る2025年4月1日(火)~4月27日(日)まで、「林忠彦が見たアメリカ 1955年」を開催します。

 戦中・戦後を通じ、雑誌のグラビアページを中心に活躍した林忠彦(1918-1990)は、第二次世界大戦後の焼け野原となった東京の風俗や、太宰治や坂口安吾らに代表される無頼派文士の肖像写真で一躍時代の寵児となり、戦後報道写真の第一人者として日本の写真界を牽引しました。

 本展では、林忠彦が1955年に初渡米した際、ロサンゼルス、ニューヨーク、ハワイを巡って撮影したスナップ写真65点(すべてモノクロ)をご覧いただきます。

 限られた人しか海外旅行に行けなかった1955年に、「ミス・ユニバース東京大会」のフォト・コンテストで一等に入選した林は、カリフォルニア州ロングビーチで行われる世界大会特派のため、日本代表の高橋敬緯子とともにアメリカへ渡りました。飛行機からサンフランシスコの街並みを見た林は、「こんな富裕な国と戦争をしたのか、無謀なことをしたものだと愕然とした。眼下にみえる家並みの豊かさにいやというほどそれを知らされた。」(「自叙伝」『昭和写真・全仕事3 林忠彦』朝日新聞社、1982年)と当時を振り返っています。

 20日間のコンテスト取材を終えたのち、ロサンゼルスのメキシコタウンやディズニーランド、ニューヨークのウォール街や五番街、セントラルパーク、グリニッジヴィレッジ、ニューヨーク近代美術館、コニーアイランド、ハワイなどを約1ヵ月間の間に巡った林は、初めて目の当たりにするアメリカ文化を、新鮮な驚きと感動のうちにスナップしていきました。

 カメラに笑顔を向けるティーンエージャー、突然の雨に濡れながら走り出すカップル、仲睦まじく寄り添いながらサーカスを見る若い家族など、自由で豊かな生活を謳歌するアメリカの人々の生き生きとした姿が写しとめられています。言葉が通じないアメリカの地で自身が「本当のスナップを撮った」と語る写真群は、ジャーナリスティックな視点の中にも温かみのあるユーモアが感じられ、わずかな時間で対象を見極めて瞬間を的確にとらえる林忠彦の知る人ぞ知る名作です。

 今回、ご子息の写真家・林義勝氏にご協力いただき、35mmネガフィルム約3,800カットから新たに構成し、未発表作品も含め展示いたします。70年経った今も色あせない瑞々しいスナップショットの数々をご覧ください。


林 忠彦(はやし ただひこ)

1918年、山口県徳山市 (現・周南市) にある写真館の長男として生まれる。1939年、オリエンタル写真学校を卒業。1940年、東京光芸社に入社。プロ写真家としてデビュー。1942年、華北弘報写真協会を結成し、報道カメラマンとして北京へ渡る。1946年、北京から山口県に引き揚げ後、上京。フリー写真家として月20誌以上に作品を発表。1947年、秋山庄太郎、石津良介、植田正治らと写真団体「銀龍社」を結成。1948年、『小説新潮』に〈文士シリーズ〉を連載。1953年、二科会写真部の創立会員となる。1955年、ミス・ユニバースの世界大会特写のために渡米し、米国各地で取材。1961年、日本写真家協会副会長に就任(~1980年)。1985年、肝臓がんの宣告を受け〈東海道〉の撮影を開始。1990年12月18日逝去(享年72歳)。

主な受賞歴・受章歴に、『日本の作家』(主婦と生活社)で日本写真協会年度賞(1971年)、二科展「織田廣喜」にて内閣総理大臣賞(1972年)、『日本の画家108人』(美術出版社、1978年)で日本写真協会年度賞(1979年)、紫綬褒章(1983年)、勲四等旭日小綬章(1988年)、日本写真協会功労賞(1988年)、徳山市市民文化栄誉賞(1989年)がある。

主な写真集に、『小説のふるさと』(中央公論社、1957年)、『日本の経営者』(ダイヤモンド社、1975年)、『カストリ時代:昭和21年、東京、日本。』(朝日ソノラマ、1980年)、『若き修羅たちの里—長州路』(講談社、1981年)、『日本の家元』(集英社、1983年)、『文士の時代』(朝日新聞社、1986年)、『東海道』(集英社、1990年)、『文士の肖像 110人』(朝日新聞社、1990年)がある。


タイトル

「林忠彦が見たアメリカ 1955年」

開催期間

2025年4月1日(火)~4月27日(日)

展示内容

戦後報道写真の第一人者として知られる林忠彦が1955年に初渡米した際、ロサンゼルス、ニューヨーク、ハワイを巡って撮影したスナップ写真を展示。カメラに笑顔を向けるティーンエージャー、突然の雨に濡れながら走り出すカップルなど、自由で豊かな生活を謳歌するアメリカの人々の生き生きとした姿が写しとめられている。言葉が通じないアメリカの地で自身が「本当のスナップを撮った」と語る写真群は、ジャーナリスティックな視点の中にも温かみのあるユーモアが感じられ、わずかな時間で対象を見極めて瞬間を的確にとらえる林忠彦の知る人ぞ知る名作。

展示点数

65点(全てモノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。