「カメラとデザイン」
(左上から右へ)
①「コダック・バンタム・スペシャル」 1936年 イーストマン・コダック
②「フジカミニ」 1964年 富士写真フイルム(現富士フイルム)
③「ミノルタ クレージュ ac101」 1983年 ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)
④「アンスコ・フレックス」 1950年 アンスコ
⑤「オリンパス O-product」 1988年 オリンパス光学工業(現オリンパス)
⑥「キヤノン T90」 1985年 キヤノン
⑦「コンタックス RTS」 1975年 ヤシカ(現京セラ)
⑧「ニコン F」 1959年 日本光学工業(現ニコン)
日本カメラ博物館(館長 森山眞弓)では、2010年2月16日(火)から6月20日(日)まで、特別展「カメラとデザイン」を開催します。今回は、”カメラとデザイン”をテーマに、個性豊かなカメラの数々を紹介します。
カメラは映像を記録するための道具ですが、今日では単なる記録装置としてだけではなく、洗練された機能美を持つ製品として、本来の目的を超えて多くの人々を惹きつけています。
もともと絵を描くための補助器具「カメラ・オブスキュラ」からスタートしたカメラは、感光材料などの技術的な制約もあり、19世紀半ばの発売当初はこの形式を流用した木製・箱型のものがほとんどでした。しかし、産業と技術の進歩とともに19世紀末から20世紀初め頃には扱いやすく安価なカメラが発売され、カメラの大衆化が進んでいきます。時を同じくして欧米で現れた新しいデザインの潮流は、商品として普及しつつあったカメラの形体にも影響しはじめます。
19世紀末頃から登場した流麗な曲面などが特徴の”アール・ヌーボー”や、1910~30年代頃に流行した幾何学的な模様などが特徴の”アール・デコ”は、多くのカメラの外観に採用されました。また、芸術と技術の融合を目指し1919年に創設されたドイツの”バウハウス” の理念は、機能的で美しいカメラデザインを生み、1920年代頃から登場したレイモンド・ローウィーやウォルター・ドーウィン・ティーグら”アメリカの第一世代のインダストリアル・デザイナー”たちの思想は、大量消費社会を背景にした新しい未来的なデザインを提案しました。
このとき生まれたデザイン思想は、カメラに明確な意図を持ったデザインを与え、カメラデザインの原点として現在のカメラにも受け継がれています。
今回の特別展では、国内外の著名なデザイナーやエンジニアが関わったカメラや、ファッションブランドとのコラボレーションモデル、カラーバリエーションモデルなど、”カメラとデザイン”をテーマに個性豊かなカメラを展示し、デザインから見たカメラの魅力を紹介いたします。
カメラ愛好家はもちろん、デザインに興味がある若い方や、プロダクトデザインの仕事に携わっている方なども楽しめる内容となっております。
また期間中の3月27日(土)にはキヤノン株式会社の田中昇氏をお招きしてキヤノンのカメラデザインについて、4月24日(土)にはカメラ研究家の伊藤二良氏をお招きしてカメラデザインの歴史について、それぞれ講演会を開催する予定です。
●著名なデザイナーやデザイン事務所がカメラデザインに関わったカメラ
「コダック・バンタム・スペシャル」 1936(昭和11)年 イーストマン・コダック (アメリカ)(写真)
「スーパーコダック 620」 1938(昭和13)年 イーストマン・コダック (アメリカ) など
◇ウォルター・ドーウィン・ティーグ (Walter Dorwin Teague 1883-1960 アメリカ)
「アンスコ・フレックス」 1950(昭和25)年 アンスコ(アメリカ)(写真)
「ベル&ハウエル エレクトリックアイ 127」1960(昭和35)年ベル&ハウエル (アメリカ)など
◇レイモンド・ローウィー (Raymond.F.Loewy 1893-1986 フランス生まれ、1919年渡米)
「ハッセルブラッド 500C」 1957(昭和32)年 ビクター・ハッセルブラッド (スウェーデン)
◇シクステン・サッソン (Sixten Sason 1912-1967 スウェーデン)
「キヤノン T90」 1985(昭和60)年 キヤノン (写真)
◇キヤノン案にルイジ・コラーニ案を融合(Luigi Colani 1928- ドイツ)
「フジカ DL-100」(オートエース) 1983(昭和58)年 富士写真フイルム (現富士フイルム)
◇マリオ・ベリーニ (Mario Bellini 1935- イタリア)
「ニコン F3」 1980(昭和55)年 日本光学工業 (現ニコン)
「ニコン D3」 2007(平成19)年 ニコン など
◇ジョルジェット・ジュージアーロ (Giorgetto Giugiaro 1938- イタリア)
「ミノルタ α-7700i」 1988(昭和63)年 ミノルタカメラ (現コニカミノルタ) など
◇ハンス・A・ムート (Hans Mut 1935- ドイツ)
「フジペット」 1957(昭和32)年 富士写真フイルム (現富士フイルム)
「フジカミニ」 1964(昭和39)年 富士写真フイルム (現富士フイルム) (写真) など
◇田中芳郎 (1915生まれ 日本)
「コンタックス RTS」 1975(昭和50)年 ヤシカ (現京セラ) (写真)
「コンタックス T」 1984(昭和59)年 京セラ など
◇F.A.ポルシェ(ポルシェデザイン) (F.A.Porsche(Porsche Design) ドイツ)
「ニコン F」 1959(昭和34)年 日本光学工業 (現ニコン) (写真)
◇亀倉雄策 (1915-1997 日本)
「ズノー」 1958(昭和33)年 ズノー光学工業
◇GKインダストリアルデザイン研究所 (日本)
「オリンパス O-product (オープロダクト)」
1988(昭和63)年 オリンパス光学工業 (現オリンパス) (写真)
◇坂井直樹、山中俊治 (日本)
●企業内エンジニアやデザイナーがカメラデザインに関わったカメラ
「ライカ 0 (試作機)」 1923(大正12)年頃 エルンスト・ライツ (ドイツ) など
◇オスカー・バルナック (Oskar Barnack 1879-1936 ドイツ)
「オリンパスペン」 1959(昭和34)年 オリンパス光学工業 (現オリンパス)
「オリンパス XA」 1979(昭和54)年 オリンパス光学工業 (現オリンパス) など
◇米谷美久 (1933-2009 日本)
オリンパスOMシリーズクレイモデル、工具など(米谷美久氏旧蔵)
「キヤノン ダイアル35」 1963(昭和38)年 キヤノンカメラ (現キヤノン) など
◇篠原宏 (日本)
「キヤノン IXY」 1996(平成8)年 キヤノン など
◇塩谷康 (日本)
リコーGRシリーズ試作品、デザインモックなど
リコーR1検討モデル
リコーGR DIGITAL検討用ラフモデル
リコーデジタルカメラコンセプトモデル
●ファッションブランドとのコラボレーションモデル
「ミノルタ クレージュ ac101」 1983(昭和58)年 ミノルタカメラ (現コニカミノルタ) (写真)
◇アンドレ・クレージュ×ミノルタ ディスク5
「b!! ニコン」 2001(平成13)年 ニコン
◇アニエスb×ニコンU
●グッドデザイン賞を受賞したカメラ
◇第一回グッドデザイン賞
「キヤノン L1」 1956(昭和31)年 キヤノンカメラ (現キヤノン)
「キヤノン 8T」 1956(昭和31)年 キヤノンカメラ (現キヤノン)
◇グッドデザイン大賞
「オリンパス XA2」 1980(昭和55)年 オリンパス光学工業 (現オリンパス)
「キヤノン T50」 1983(昭和58)年 キヤノン
●その他、カラーバリエーションモデル等
※ここに記載したカメラ名は展示予定機種の一部です。
タイトル
日本カメラ博物館 特別展 「カメラとデザイン」
開催期間
2010年2月16日(火)~6月20日(日)
出品点数
カメラ:約150点(予定)、その他デザインスケッチ、デザインモック、カタログなどの資料等を展示予定。
講演会
・3月27日(土)13:00~15:00
「キヤノンEOSシリーズのカメラデザイン」
田中昇氏(キヤノン株式会社総合デザインセンター)
・4月24日(土)13:00~15:00(予定)
「コレクターから見たカメラデザイン」
伊藤二良氏(カメラ研究家)
常設展等
常設展として世界最初の市販カメラ「ジルー・ダゲレオタイプカメラ」、「日本の歴史的カメラ」約300点、「ライカコーナー」、「カメラのおもちゃコーナー」、「カメラ体験コーナー」、「分解パネルコーナー」などを展示
図録販売
今回展示される資料を収めた図録を制作し、日本カメラ博物館受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
※4/27~5/9のゴールデンウィーク期間中は休まず開館
入館料
一般 300 円、中学生以下 無料
団体割引(10名以上)一般 200 円
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。