「世界の珍品カメラ」~中村一雄コレクション展~
左から
スーパーコダック620 1938(昭和13)年
フォクトレンダー ダゲレオタイプカメラ (レプリカ) 1841(天保12)年
デュフレックス(ゴールド) 1948(昭和23)年頃
サンダーソン トロピカル 1909(明治42)年
日本カメラ博物館(館長 森山眞弓)では、来る2007年7月3日(火)から10月14日(日)まで特別展「世界の珍品カメラ」~中村一雄コレクション展~を開催します。
日本カメラ博物館ではこのほど、滋賀県愛知川町のカメラコレクター故・中村一雄氏の数百点に及ぶクラシックカメラ・映像機器コレクションをご寄託いただくこととなりました。
中村氏がコレクションを形成するにあたって大いに参考とした書籍が、「世界の珍品カメラ」(北野 邦雄著・朝日ソノラマ・1975年)でした。この本は、昭和初期から写真、カメラ関連の執筆活動や月刊「写真工業」の創刊に携わり、またペンタックス・ギャラリー初代館長をつとめるなどクラシックカメラ研究の第一人者であった北野邦雄氏が、機構的におもしろく歴史的にも価値あるカメラ75機種を選抜し、解説を加え紹介したものです。
中村氏が生前常に手元に置いていた同書には、各ページに細かいメモが書き込まれて研究に没頭した跡が見受けられるなど、中村氏のクラシックカメラに対する情熱と愛情を感じ取ることができ ます。
今回の特別展では、中村氏がこの「世界の珍品カメラ」に基づき収集した貴重な外国製クラシック カメラコレクションのほか、「パテーベビー」や16ミリ映写機などの映画機材、国産カメラおよびアクセサリー関連もあわせて展示・紹介いたします。
中村一雄 : 実業家。1926(大正15)年生まれ、1988(昭和63)年逝去。
● 展示予定機種(その一部をご紹介)
デュフレックス(ゴールド) 1948(昭和23)年頃 ガンマ(ハンガリー)
世界で最初に「クイックリターンミラー機構」を採用した35ミリ一眼レフカメラ。24×32ミリの画面サイズを持ちレンズ交換も可能。またレフレックスファインダーのほかに透視ファインダーも備える。展示品は外装をゴールド仕上げとした特別仕様品。(写真)
フォクトレンダー ダゲレオタイプカメラ(レプリカ) 1841(天保12)年 フォクトレンダー(オーストリア)
感光材料に円形の銀板を使用するごく初期のカメラ。光学設計に基づいた当時としては画期的に明るいレンズを備えているほか、ボディが金属で作られている点が特徴となっている。展示品は後年メーカーがレプリカとして製作したもの。(写真)。
サンダーソン トロピカル 1909(明治42)年 ホートン(イギリス)
レンズアオリ機構などを備えて組立暗箱に迫る操作性と優れた携行性を備えた機種。ボディ木部を磨きだし仕上げとした「トロピカル・タイプ」と呼ばれる仕様は、工芸品的な生産方式による精緻な工作が施されており現在でも人気が高い。(写真)
スーパーコダック620 1938(昭和13)年 イーストマン・コダック(アメリカ)
世界最初の自動露出(AE)機構を備えたカメラ。内蔵露出計の受光体にはセレン光電池を採用している。連動距離計やクランク式のフィルム巻き上げ機構を備えるなど先進的な機構を持つ。感光材料は120フィルムをベースにスプールを細くした「620フィルム」を使用する。(写真)
ローランド 1931(昭和6)年 プラズマット(ドイツ)
120フィルムを使用して45×60ミリの画面サイズで撮影が可能な機種。ファインダーと距離計を一体化した「一眼式距離計」を備える。焦点調節機構はヘリコイド式。
ライカⅠ(A) 1925(大正14)年 エルンスト・ライツ(ドイツ)
ライカ最初の市販モデル。発売当初から小さなネガを拡大して使用する「引伸し」を前提としたシステム展開を行ったほか、その後のモデルで機能向上を繰り返したことにより小型精密カメラの代表として写真産業に大きな影響を与えた。
コンタフレックス 1935(昭和10)年 ツァイス・イコン(ドイツ)
電気露出計を内蔵した35ミリ二眼レフカメラ。金属製のフォーカルプレンシャッターを備えている。またバヨネット式のレンズマウントを採用してレンズ交換が可能となっていた。発売当時日本ではたいへん高価な機種として話題を集めた。
コダック エクトラ 1940(昭和15)年 イーストマン・コダック(アメリカ)
135フィルムを使用する距離計連動透視ファインダーカメラ。交換レンズに対応したズームファインダーを内蔵しているほか、撮影途中でも交換可能なフィルムマガジンを備えるなど高度な機構を持つ。
フォトン 1948(昭和23)年 ベル&ハウエル(アメリカ)
独特の構造を持つ金属製フォーカルプレンシャッターを備えた35ミリ距離計連動透視ファインダー カメラ。フィルム巻き上げ機構にはスプリングモーター(ゼンマイ)を採用しており連続撮影が可能となっていた。
コンパス 1938(昭和13)年 コンパス・カメラ(イギリス)
24×36ミリの画面サイズを持ち、コンパクトなボディに連動距離計、光学式露出計、交換式フィルターなど非常に多くの機能を装備した機種。感光材料もシートフィルムとロールフィルムを選択して 使用できる。
ミノックス 1938(昭和13)年 バルスツ電気(ラトビア)
9.5ミリフィルムを使用して8×11ミリの画面サイズで撮影を行う極小型カメラ。最速1/1000秒のシャッターを備えている。ボディ素材にはステンレスを採用。
パテーベビー 1923(大正12)年 パテー(フランス)
9.5ミリフィルムを使用するムービーカメラ。1932(昭和7)年に8ミリムービーシステムが登場する 以前はホームムービーとして絶大な人気を博していた。また自作映画のほかにも既成映画ソフトが多く供給されていた。フィルム駆動は手回しであるが、後にスプリングモーター(ゼンマイ)を採用した 機種が主流となった。
※ここに記載したカメラ名は展示予定機種の一部です。
タイトル
日本カメラ博物館特別展
「世界の珍品カメラ」~中村一雄コレクション展~
開催期間
2007年7月3日(火)~10月14日(日)
出品点数
カメラ:約150点
その他 アクセサリー、用品、資料等
常設展等
常設展として「日本の歴史的カメラ」約300点も展示
※博物館展示スペースの一角を日本の各メーカーに提供する「メーカーコーナー」の展示も開催
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
当館が定める休館日
入館料
一般 300 円、中学生以下 無料
団体割引(10名以上)一般 200 円
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
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- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
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