「ペトリ、ミランダ、ヤシカ…今はなき昭和のカメラ」
講演会「カメラ技術の進化を語る ~銀塩からデジタルまで~」
講師:市川泰憲氏
2008年3月30日 13:00~ 開催
講演会「~魅力的でメモリアルなカメラを語る~ 消え去ったブランドのカメラたち」
講師:萩谷 剛 氏
2008年4月26日 13:00~ 開催
前列左から
①日本で初めてラジオに超小型カメラを組み込んだ複合製品
「ラメラ」 (ブルー) 1959(昭和34)年 興服産業 興和光機製作所 (現:興和)
②日本で初めてペンタプリズムを使用した35ミリ一眼レフカメラ
「ミランダT」 1955(昭和30)年 オリオンカメラ(後のミランダカメラ)
③世界で初めてボディ内部機構と絞りが連動する「完全自動絞り」を実現した35ミリ一眼レフカメラ
「ズノー」 1958(昭和33)年 ズノー光学工業
④世界で初めて撮影レンズを通過した光で露出を計る「TTL露出計」を内蔵した35ミリ一眼レフカメラ
「トプコン REスーパー」 1963(昭和38)年 東京光学機械(現:トプコン)
⑤ボディを振り子のようにスイングさせてフィルムを巻き上げる超小型カメラ
「ヤシカ Y16」 1959(昭和34)年 ヤシカ(現:京セラ)
後列左から
⑥アメリカのポラロイド社と提携して製造された国産最初のポラロイド式インスタントカメラ
「ポラロイド ランド120」 1960(昭和35)年 ヤシカ(現:京セラ)
⑦ユニークな形状を持つヤシカ最初の35ミリハーフ判カメラ
「ヤシカ ラピード」 1961(昭和36)年 ヤシカ(現:京セラ)
⑧カラー印画紙に直接画像を撮影する初めてのカメラ
「フォトクロームカメラ」 1965(昭和40)年 ペトリカメラ
⑨135フィルムを使用する二眼レフカメラ
「サモカフレックス35」 1955(昭和30)年 三栄産業
日本カメラ博物館(館長 森山眞弓)では、来る2008年2月26日(火)から5月18日(日)まで、特別展「ペトリ、ミランダ、ヤシカ…今はなき昭和のカメラ」を開催します。今回は、現在はカメラ製造を行っていないが、先進的、独創的な技術を備え日本のカメラ産業発展に寄与した「昭和のカメラ」を中心に展示いたします。
第二次世界大戦後、日本は輸出産業に復興の活路を見出しました。造船、自動車などと同様にカメラもまた重要な輸出製品であり、1950年代後半になると日本製カメラは急速な勢いで輸出量を増加し、やがては世界市場を席巻するに至りました。
国内外の市場を含めて巨大産業へと急成長した当時のカメラ産業は、現在よりもはるかに 多くのカメラメーカーが存在し、長年に渡って厳しい開発・販売競争が繰り返されました。その結果、カメラ関連事業からの撤退や業種転換などの再編が続けられ、役目を終えて失われたカメラブランドもありました。しかしその中にも、斬新な発想で現代につながる技術を備え、海外市場で評価や名声を得るなど、様々な功績を残して日本のカメラ産業発展に寄与したカメラも数多くあります。
今回の特別展では、ペトリ、ミランダ、ヤシカ、トプコン、アイレスなど、現在はカメラ製造を行っていなくとも、先進的、独創的な機構を持ち、多くの人々の記憶に残る昭和のカメラを中心に展示し、メーカーの発展や統廃合の歴史なども紹介いたします。
● 展示予定機種(その一部をご紹介)
アルコ35 1952(昭和27)年 アルコ写真工業
連動距離計を使用して35センチまでの近接撮影が可能な35ミリスプリングカメラ。専用レフレックスファインダーの「ビューアルコ」が使用可能など独創的な機能を多く備える。
アイレス35Ⅱ 1954(昭和29)年 アイレス写真機製作所
同年発表された「ライカM3」に影響を受けて国産カメラで初めて採光窓式ブライトフレームファインダーを採用した35ミリ距離計連動式透視ファインダーカメラ。フィルム巻き上げ機構もレバー式を採用した。
ミランダ T 1955(昭和30)年 オリオンカメラ(後のミランダカメラ) (写真)
国産カメラとして初めてファインダーにペンタプリズムを採用した35ミリ一眼レフカメラ。シャッターレリーズ ボタンはカメラ前面に設けられ水平方向に押してレリーズする方式を取っている。
サモカフレックス35 1955(昭和30)年 三栄産業 (写真)
135フィルムを使用する二眼レフカメラ。レフレックスファインダーのほかに透視ファインダーも備える。レンズはDエズマー50ミリF2.8を装着。
ニッカ ⅢL 1958(昭和33)年 ニッカカメラ
等倍のブライトフレームファインダーを備えた35ミリ距離計連動透視ファインダーカメラ。同年にニッカカメラはヤシカに吸収されたが、本機はヤシカで継続生産・販売が行われた。
ズノー 1958(昭和33)年 ズノー光学工業 (写真)
レンズ専業メーカーであった同社が手がけた35ミリ一眼レフカメラ。世界で初めて「完全自動絞り」と呼ばれたカメラ機構に連動する絞り機構を採用した。
ヤシカ Y16 1959(昭和34)年 ヤシカ(現・京セラ) (写真)
ボディをスイングさせるラチェット式のフィルム巻き上げ機構を備えた超小型カメラ。感光材料は専用のマガジンに入った16ミリフィルムを使用する。ボディカラーは全5色。
ヤシカ YF 1959(昭和34)年 ヤシカ(ニッカカメラ)
ニッカカメラがヤシカに吸収された後に生産された35ミリ距離計連動透視ファインダーカメラ。そのためボディには「ヤシカ」と「ニッカ」の両ブランド名が表記されている。
ラメラ 1959(昭和34)年 興服産業 興和光器製作所 (現:興和) (写真)
中波(AM)トランジスタラジオと16ミリフィルムを使用する超小型カメラを複合させた機種。外装は樹脂製で白、黒、赤、緑、青のカラーバリエーションがある。興和は医薬品の製造なども手掛けている。
ゼンザブロニカ(D) 1959(昭和34)年 ブロニカカメラ(現・タムロン)
画面サイズ60×60ミリのフォーカルプレン式一眼レフカメラ。セルフタイマーを利用した長時間露出機構や レフレックスミラーを一般的な跳ね上げ式ではなく降下式とするなど意欲的な機能を多く採用した。
ポラロイド ランド120 1960(昭和35)年 ヤシカ(現・京セラ) (写真)
アメリカのポラロイド社と提携して製造された国産最初のポラロイド式インスタントカメラ。焦点調節機構には蛇腹を使用している。
ヤシカ ラピード 1961(昭和36)年 ヤシカ(現・京セラ) (写真)
ボディ底部の革の取っ手がついたレバーを引くことでフィルム巻き上げとシャッターチャージを行う機種。 135フィルムを使用し画面サイズは公称18×24ミリの「ハーフサイズ」を採用。独特の縦長ボディを持つ。
レオタックス G 1961(昭和36)年 六和(レオタックスカメラ)
それまでのライカタイプから脱却して一軸不回転シャッターダイアルや等倍ブライトフレームファインダーなどを備えた意欲的なモデル。ただし発売はレオタックスカメラの会社清算後に他社からとなった。
タロン マーカス 1962(昭和37)年 タロン
CdS(硫化カドミウム)を受光体に持つ連動露出計を最初に内蔵した35ミリ距離計連動透視ファインダーカメラ。巻き上げレバーが露出計の電源スイッチを兼ねている。
トプコン REスーパー 1963(昭和38)年 東京光学機械(現・トプコン) (写真)
世界で初めてレンズを通ってきた光を測定するTTL(Through The Lens)露出計を内蔵した35ミリ一眼レフカメラ。レフレックスミラーと受光体を一体化した「ミラーメーター」を採用している。
フォトクロームカメラ 1965(昭和40)年 ペトリカメラ (写真)
感光材料に印画紙を使用して直接カラープリントを作成するというアメリカのフォトクローム社が開発した独特のシステムに対応した機種。カメラ上部にフラッシュガンを内蔵している。
ペトリ カラー35 1968(昭和43)年 ペトリカメラ
距離調節ノブとシャッター速度ダイアルをカメラ上部に配置して小型化を追求した35ミリ透視ファインダーカメラ。携帯時には距離調節ノブを無限遠以上に回転することでレンズを沈胴させることが可能。
※ここに記載したカメラ名は展示予定機種の一部です。
タイトル
日本カメラ博物館特別展「ペトリ、ミランダ、ヤシカ…今はなき昭和のカメラ」
開催期間
2008年2月26日(火)~5月18日(日)
出品点数
カメラ:約250点
その他 アクセサリー、用品、資料等
常設展等
常設展として「日本の歴史的カメラ」約300点も展示
※博物館展示スペースの一角を日本の各メーカーに提供する「メーカーコーナー」の展示も開催
図録販売
今回展示される資料を収めた図録を制作し、日本カメラ博物館受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
入館料
一般 300 円、中学生以下 無料
団体割引(10名以上)一般 200 円
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
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