栗原達男 写真展 「松浦 栄のオカノガン・100年」
JCIIフォトサロンでは、来る2001年10月30日(火)から11月25日(日)まで、栗原達男写真展「松浦 栄のオカノガン・100年」を開催します。今回の展示では、栗原達男氏が入念な取材で辿った、100年前にアメリカへ渡った写真家・松浦 栄(まつら さかえ)の人生の軌跡をご紹介いたします。
松浦は1873(明治6)年に東京・向島の名家の長男に生まれました。しかし明治維新で家は没落、苦学していた松浦は、アメリカ帰りの牧師・木村熊二と出会い、そこで英語、写真などを学び、新しい世界へ想いを馳せるようになったようです。そして1901(明治34)年、夢を求めて27歳で単身アメリカへ渡ったのです。シアトルに降り立った松浦は、日本人街にはほとんど足跡を残さず、シアトルから400キロ以上も東北にある鉱山の町・オカノガンのホテルに皿洗いとして住みこみます。そして仕事の合間に、大型のカメラと三脚で開拓地やそこに暮らす人々、居留地のネイティブ・アメリカンなどを撮影して歩きました。1907(明治40)年に写真館を開業してからは、写真術と明るく真摯な人柄が評判になり地元の人々から“フランク”(率直な、裏表のない)・マツーラという愛称で呼ばれ大変親しまれました。1913(大正2)年結核により39歳の若さで亡くなったとき、葬儀には彼を慕う町中の人々が人種を超えて集まったそうです。現在、松浦が撮影した数々の写真は、アメリカ開拓時代の息吹を伝える貴重な資料として、オカノガン歴史資料館に所蔵されています。
松浦の軌跡を旅し、彼を知る人物を取材して歩いた栗原氏は、松浦に真の国際人の姿を見ました。どんな逆境に置かれても強い意思を持ち、知的好奇心で立ち向う松浦の人生は、100年を経た現在も、多くの示唆と教訓に満ちています。
今回の写真展では、栗原氏が松浦栄の写真と同じ場所で撮影した100年後の定点、東京・向島からオカノガンまでを辿った松浦栄の軌跡、現在のオカノガン・キャニオンの風景などのほか、松浦栄がアメリカ・オカノガンを撮影した写真約30点を含め、モノクロ作品約100点を展示します。
栗原 達男(くりはた たつお)
1937年東京・向島生まれ。1961年早稲田大学政経学部卒業、朝日新聞出版写真部勤務。1962年「下町に生きる人々」「十勝岳大噴火・天災は弱きをくじく」などの取材に対し日本写真協会新人賞受賞。1967年フリーとなりヨーロッパ3万キロドライブ、沖縄取材、世界・日本の炭鉱取材、アメリカ縦横断、全東欧など、テーマを深く掘り下げ激動する世界を捉えるドキュメンタリー写真家として活躍。テレビのニュース・ドキュメンタリー番組のリポートも行う。著書に「オキナワ1961~1970」「合衆国USA/縦横16000キロ」「フランクと呼ばれた男/西部の写真家 松浦栄の軌跡」「失うことを恐れるな」など多数。日本写真家協会会員。
タイトル
栗原達男写真展「松浦 栄のオカノガン・100年」
開催期間
2001年10月30日(火)~11月25日(日)
展示内容
100年前、夢を求めてアメリカに渡った写真家・フランク・マツーラこと松浦栄の人生を追ったドキュメンタリー。栗原氏が松浦栄の写真を携えて東京・向島からオカノガンまで旅した松浦栄の軌跡、現在のシアトルやオカノガンの風景などのほか、松浦栄がアメリカ・オカノガンを撮影した写真約30点も含めたモノクロ作品約100点を展示。
展示点数
約100点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。