緑川洋一作品展「波の郷愁」
JCIIフォトサロンでは、来る2002年10月29日(火)から11月24日(日)まで、緑川洋一作品展「波の郷愁」を開催します。
緑川氏と言えば、「色彩の魔術師」と呼称されるように、多重露光やモンタージュなどの特殊技法によって幻想的な風景写真をつくる作家として知られています。「輝いている海には活力があり、主張がある。光る海が私は好きだ。瀬戸は、私の幼少年期をはぐくんでくれた母なる海であった。」(『昭和写真・全仕事6 緑川洋一』1982年・朝日新聞社)とあるように、その独特の感受性の源となったのが、故郷である瀬戸内の自然でした。
氏は自然美を追求するかたわら、そこで生活する人々や町の風景にも目を向けていました。今回展示するのは戦後から1950年代にかけて撮影された瀬戸内海のドキュメンタリー、モノクロ写真約90点です。零細漁業で一本釣りを主とした漁師たちの「海に生きる」、家舟(えぶね)と呼ばれる、もっぱら舟を日常の住居として漁業や行商をする人々の姿を追った「海のジプシー」、路地裏や漁港で遊びまわる子や、乳児を背負い子守をする幼い少女をとらえた「子等の大地」、寄港する船の男を相手に働く売春婦の憂いを含んだ「売春哀話」など、約15のシリーズから構成されています。歴史・文化的資料として貴重であることは言うまでもありませんが、それ以上に戦後の瀬戸を舞台にしたたかに、つつましく生きる人々の姿がどこか物悲しく、そして温かく写し出されており、2001年11月に亡くなられた緑川氏の原風景である瀬戸内の匂いが感じられる作品の数々です。
緑川 洋一(みどりかわ よういち)
1915年岡山県邑久郡生まれ。1936年日本大学歯科医学校卒業、翌年岡山駅近くに歯科医院を開業。1939年石津良介の紹介で「中国写真家集団」に参加。1947年東京の写真家集団「銀龍社」(秋山庄太郎、林忠彦、植田正治ら十数人)に参加。1981年写真集団「風の会」を結成。1992年岡山市に「緑川洋一写真美術館」開館、館長に就任。イギリス・ビクトリア&アルバート美術館やフランス国立図書館などに作品が永久保存され、海外でも高く評価される。1962年第6回日本批評家協会賞作家賞、中国文化賞(中国新聞社主催)、1963年日本写真協会賞年度賞、岡山県文化賞、1973年二科展総理大臣賞、1990年勲四等瑞宝章、三木記念賞など多数受賞。主な著書は「瀬戸内海」(美術出版社)、「四季讃歌 春夏秋冬」(集英社)、「水墨の詩 日本の山河」(東方出版)など多数。2001年11月逝去、享年87歳。
タイトル
緑川洋一作品展「波の郷愁」
開催期間
2002年10月29日(火)~11月24日(日)
展示内容
戦後から1950年代にかけて撮影された瀬戸内海のドキュメンタリー。零細漁業で一本釣りを主とした漁師たちの「海に生きる」、家舟(えぶね)と呼ばれる、もっぱら舟を日常の住居として漁業や行商をする人々の姿を追った「海のジプシー」、路地裏や漁港で遊びまわる子や、乳児を背負い子守をするまだ幼い少女をとらえた「子等の大地」、寄港する船の男を相手に働く売春婦の憂いを含んだ「売春哀話」など、約15のシリーズから構成されている。
展示点数
約90点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。