中村由信作品展「日本方言図鑑」
JCIIフォトサロンでは、来る2006年3月7日(火)から4月2日(日)まで、中村由信作品展「日本方言図鑑」を開催いたします。
方言とは、ある地域で話されている言葉、その地域の人たちの生活のことばのことで、方言を聞けばどの地方出身なのかがわかるほど、私たち日本人の生活に根づいているものです。最近、若い人々を中心に方言が見直されてきていますが、それは価値観が多様化する中で見失われてしまいがちな自らのアイデンティティーを見直し、確立しようとする心的動向といえましょう。
中村氏は、昭和52年から55年の4年間、『月刊文藝春秋』のグラビアページで日本全国の方言を写真で表現する「日本方言事典」を連載しました。取材は「まずどこへ行っても「今時もう方言なんか残ってないよ」との返事ばかり」で、話し言葉である「方言」を写真で表現するだけでなく、その写真にあわせる「方言」を探し出すことは、並々ならぬ努力と根気が必要でした。
今回の作品展では、「日本方言事典」連載後にも撮影を続け、計8年を費やしてまとめあげた写真集『日本方言図鑑』のなかから、秋田の海沿いの停留所で寒空の下バス待ちをするおばあさんたち、嬌声が飛びかう熊本の女相撲、亀石の前でおどけた表情を見せ合う奈良の小学生、山のふもとの小道で荷物を背負いながら立ち話をする長野のおじいさんなど、日本各地の特徴ある光景にユーモアたっぷりの方言解説を添えた作品、約80点(全作品モノクロ)を展示します。
空気のように生活のヒトコマをスナップする氏独特の作風で切り取られた写真は、今にも聞こえてきそうな方言の解説とあいまって、深いあじわいのある作品に仕上がっています。
中村 由信 (なかむら よしのぶ)
1925(大正14)年、香川県直島に生まれる。戦後、直島の三菱精錬所に勤務しながら写真を撮り、カメラ雑誌入選の常連となり故緑川洋一氏に師事。27才の時、瀬戸内海の「おちょろ船」を撮りまとめ、プロ写真家を決意する。30才で上京して、主に瀬戸内海の生活を題材としたスナップを雑誌のグラビアに掲載。1958年日本写真協会第一回新人賞を受賞する。昭和34年、師緑川洋一氏との共同著作『金比羅さん』を出版。瀬戸内海の島に暮らす人々の撮影をライフワークとし、また水中カメラの少なかったこの時代に自作のマリンカメラで海女を撮り続け、『瀬戸内海』『瀬戸内海の旅』『瀬戸内の人々』、日本全国の海女を撮りまとめた『日本の海女』『海女』を出版。昭和40年頃から、日本全国の蒸気機関車を撮りまとめ、蒸気機関車に関する写真集も10冊以上に及ぶ。昭和52年から55年の4年間、月刊文藝春秋で「日本方言事典」を連載。昭和58年「日本方言事典」をまとめた写真集『日本方言図鑑』を出版する。以降も日本の生活を撮影し雑誌のグラビアに発表する傍ら、昭和62年より「瀬戸内のかあちゃん」を題材に撮り続けた。平成2年12月3日逝去、享年65。
タイトル
中村由信作品展「日本方言図鑑」
開催期間
2006年3月7日(火)~4月2日(日)
展示内容
今回の作品展では、「日本方言辞典」連載後にも撮影を続け、計8年を費やしてまとめあげ
た写真集『日本方言図鑑』のなかから、秋田の海沿いの停留所で寒空の下バス待ちをするお
ばあさんたち、嬌声が飛びかう熊本の女相撲、亀石の前でおどけた表情を見せ合う奈良の小
学生、山のふもとの小道で荷物を背負いながら立ち話をする長野のおじいさんなど、日本各
地の特徴ある光景にユーモアたっぷりの方言解説を添えた作品、約80点(全作品モノクロ)
を展示します。
展示点数
約80点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。