写真展

~幕末・明治の古写真展~ 写真館 『上野撮影局』 誕生 上野彦馬が愛した長崎

開催期間:2008年2月5日(火)2008年3月2日(日)
「上野撮影局を訪れたアメリカ人たち」
(明治8年頃/c1875)
開催期間:2008年2月5日(火)~3月2日(日)
 

 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの15回目として、来る2008年2月5日(火)から3月2日(日)まで、「~幕末・明治の古写真展~ 写真館 『上野撮影局』 誕生 上野彦馬が愛した長崎」を開催いたします。

 天保9年(1838)に長崎で生まれた上野彦馬(うえのひこま)は、幕末の文久2年(1862)に長崎で初の営業写真館「上野撮影局」を開業し、ほぼ同時期に横浜で写真館を開いた下岡蓮杖(しもおかれんじょう)と並んで、日本写真界の開祖の一人として知られています。

  オランダ人医師ポンペのもとで舎密学(せいみがく=化学)を学んでいた20歳の頃、彦馬は蘭書の中に写真術に関する記述を見つけ、研究を始めました。当時の日本では写真に必要な薬品の入手は困難で、薬品を作るためには化学への深い知識が不可欠でした。彦馬は同僚の津藩士・堀江鍬次郎(ほりえくわじろう)と共に実験を重ね、苦労の末に湿板写真術を習得しました。湿板写真術を附録として収めた『舎密局必携(せいみきょくひっけい)』という化学のテキストを、文久2年(1862)に蘭書の読めない学生のために出版し、この本は明治の初めまで日本全国で化学の教科書として使われました。

 同年の秋、彦馬は長崎の中島川の河畔に写真館「上野撮影局」を開業し、外国人や地元の人々を撮影し始めました。幕末から明治維新の頃になると維新の志士たちが自らの姿を残すために訪れるようになり、撮影局の評判は上がっていきました。最初は狭く質素だったスタジオも店の繁盛と共に広くなり、カーペットや西洋風の椅子などの小物も次第に豪華になっていくのが写真からよく分かります。さらには海外(ウラジオストック・上海・香港)にも支店を出すなどの成功の傍らで、内田九一(うちだくいち)や冨重利平(とみしげりへい)ら多くの弟子も輩出しました。彼ら弟子たちが日本全国で活躍したためか、彦馬は国内には長崎以外に支店を出さずに、生涯長崎で活動しました。

  今回の展示では、長崎を訪れた外国人がアメリカとフランスにそれぞれ持ち帰った2冊のアルバムを中心に、「上野撮影局」で撮影された肖像写真、彦馬が愛した当時の長崎の風景や建物が写された作品、約70点を展示いたします。2冊のアルバムのうちフランスに持ち帰られたアルバムには、当時通訳をしていたと思われる鳥居八十五郎(とりいやそごろう、横浜仏語伝習所の一期生としてフランス語を学んだ)の姿と、28歳頃の若き日の彦馬の姿が収められていました。また、日本初の女性閣僚となった中山マサが14歳の時に「上野撮影局」で撮った肖像写真、彦馬が二人の写真師(内田九一と鎌田永弼)と写っている名刺判写真、『舎密局必携』なども展示いたします。外国から里帰りした貴重な写真の数々を是非お楽しみください。

★作品展にともない、会期中の2月16日(土)に<上野一郎・井桜直美トークショー「上野彦馬を語る」>を開催致します。

タイトル

~幕末・明治の古写真展~ 写真館 『上野撮影局』 誕生 上野彦馬が愛した長崎

開催期間

2008年2月5日(火)~3月2日(日)

展示内容

幕末に長崎で初の営業写真館「上野撮影局」を開業し、ほぼ同時期に横浜で写真館を開業した下岡蓮杖(しもおかれんじょう)と並び日本写真界の開祖の一人として名高い上野彦馬(うえのひこま)。長崎を訪れた外国人がアメリカとフランスにそれぞれ持ち帰った2冊のアルバムを中心に、「上野撮影局」で撮影された外国人や地元の人々の肖像写真、彦馬が生涯愛し続けた長崎の当時の風景や建物が写された彦馬の作品、彦馬の著書である化学のテキスト『舎密局必携(せいみきょくひっけい)』など、約70点を展示。

展示点数

約70点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル

明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。