-古写真に見る明治の東京-「京橋区編」
JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの18回目として、来る2010年2月2日(火)から2月28日(日)まで、「―古写真に見る明治の東京― 京橋区編」を開催いたします。今回は、2009年に開催し好評をいただいた「皇城(江戸城)・麹町区編」「神田区・日本橋区編」に続く第3弾で、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖の中から、当時の「京橋区」の写真を展示いたします。明治4年頃(c1871)から明治20年代前半までに撮られた写真が入り交じり、複数の写真師による作品で構成されているこの写真帖については、作られた経緯やその詳細はまだまだ不明な部分が多いのですが、総数900点以上の写真は12区と5郡に分けられ、それぞれの町の特徴がよく分かる作りになっています。
「京橋区」とは、明治11年(1878)に施行された郡区町村編制法による15区6郡制で制定された区で、昭和22年(1947)に隣の「日本橋区」と合併し、「中央区」となりました。具体的には、現在の京橋・銀座地区、八丁堀・築地地区、石川島・佃島、月島・晴海地区などの地域を指します。区名に採用された「京橋」は、日本橋を起点に南へとのびる東海道(中央通り)が京橋川(昭和34年〔1959〕に埋め立てが完了)を渡る地点に架けられていた橋で、この橋の名前の由来は「京へ上る最初の橋であったから」など諸説あります。
江戸時代、「京橋区」一帯は職人が多く住む街で、水運の便が良い京橋川周辺には青物市場もありました。しかし、明治5年(1872)2月に発生した大規模な大火で京橋から銀座一帯が全焼したのを契機に、新橋から京橋の間に、火事に強い煉瓦を使用した西洋風の街並みを造る計画が立てられました。道幅が拡張され、バルコニー付き二階建ての煉瓦造りの街並みが、明治10年(1877)に完成したのですが、当初は煉瓦造りの建物が不評で空き家も多かったようで、本格的に煉瓦街が繁栄したのは明治20年代以降でした。また、「京橋区」の東南に位置する現在の明石町一帯には、明治元年(1868)から明治32年(1899)まで築地居留地がありました。大火の7ヵ月後に、横浜・新橋間に日本初の鉄道が開通すると、開港地横浜から汽車に乗って来る外国人は、文明開化のシンボルとしてモダンな街並みに生まれ変わった煉瓦街を通り、新橋駅から築地の居留地へと向かったため、煉瓦街は外国へ日本の姿を豊かに見せる絶好の場所でした。
今回の展示では、本格的に繁栄する前の煉瓦街の様子や、煉瓦街に何軒もあった新聞社、築地居留地にあった教会や公使館など、写真帖に収録された「京橋く區の之ぶ部」より、約55点をご覧いただきます。これらの写真が写されたのは、「江戸」から「東京」へ、近代化という大きな変化の第一歩を踏み出した時代です。造られたばかりの煉瓦造りの建物やガス灯など、明治維新後の「京橋区」の街並みを、是非お楽しみ下さい。
★この展示に合わせて、古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、古写真研究家(日本カメラ博物館)の井桜直美氏とのトークショー「”古写真に見る明治の東京”を語る Part3」を2010年2月27日(土)に開催いたします!是非ご参加ください。(※要電話予約)
タイトル
―古写真に見る明治の東京― 京橋区編
開催期間
2010年2月2日(火)~2月28日(日)
展示内容
2009年に開催し、好評を博した「皇城(江戸城)・麹町区編」「神田区・日本橋区編」に続く第3弾。明治11年(1878)に施行された郡区町村編制法による15区6郡制で制定された「京橋区」は、現在の「中央区」を「日本橋区」と二分していた。江戸時代は職人の街であったが、明治5年(1872)の大火をきっかけに、新橋・京橋間は煉瓦造りの西洋風な街並みへと大きく変化した。当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖より、できたばかりの煉瓦造りの建物やガス灯、築地居留地にあった教会や公使館など、明治維新後の「京橋区」の写真、約55点を展示。
展示点数
約55点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル
明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。