芳賀日出男作品展「1955-1957 自然と文化 奄美」
JCIIフォトサロンでは、来る2011年8月30日(火)~9月25日(日)まで、芳賀日出男作品展「1955-1957自然と文化 奄美」を開催いたします。
芳賀氏は、1921年に、中国大連市に生まれました。1939年に入学した慶應義塾大学で折口信夫氏から民俗学を学び衝撃を受けます。大学卒業後、日本写真家協会の創立者の一員として入会します。以後、民俗写真に専念し、日本・世界の祭り、民俗、民族音楽ならびにクラシック音楽の写真撮影を精力的に続けました。1985年には、日本と世界の民俗写真30万点を提供し、株式会社芳賀ライブラリーを設立し活躍し続けています。
今回は、「1955-1957自然と文化 奄美」と題して、1955年7月から1957年9月まで、奄美の人々の暮らしや仕事、独自の発展をしていた奄美の宗教生活、亜熱帯ならではの文化を写しだした作品群をご覧いただきます。
民俗学者たちによる九学会連合(注1)が、日本の基層文化と南方文化の相関関係を明らかにするための調査に選んだ土地が奄美諸島でした。氏は調査の一員として選ばれ、一万枚を超える写真を撮影しました。漁や稲作、ユタ(巫女)とノロ(祝女)制度、住居、冠婚葬祭、地形など細やかに調査は進められ、撮られた写真は時代や地域の色を強く映しだしたものでした。
九州の南端から南方に伸びた奄美諸島は、本土から切り離された歴史や琉球王の統治下にあった過去もさることながら、亜熱帯の気候に属し、台風の多発する地域であり、地理的・自然的条件があまりに本土と異なるため、奄美独自の文化を築いていました。近年では消失してしまった、年中行事や宗教文化・儀礼が多々あり、血縁者だけではなく、島全体での深い繋がりを意識せざるをえません。謙虚に自然と向き合い、季節ごとに神を祀り、祖先を崇めるという、濃密に季節と調和して暮らす日本人の姿を垣間見ることができます。
民俗学の視点で捉えた芳賀氏の「奄美」は、人々が何を心の拠り所としていたのか、生活の何処に重きを置いていたのか、都市化と近代化によって失われつつある日本の習俗・文化の源流の意味を捉えています。
注1:九学会連合とは、人類学、民族学、民俗学、考古学、社会学、言語学、心理学、宗教学、地理学の専門を異にする学者が集まって、共通のテーマをたて、フィールド・ワークの研究をする学術団体。
★この展示に合わせて、芳賀日出男氏の講演会「1955-1957 自然と文化 奄美」を語る を、2011年9月3日(土)に開催いたします!是非ご参加ください。(※要電話予約)
芳賀 日出男(はが ひでお)
1921年、中国大連市に生まれる。41年、慶應義塾大学文学部に入学。ゼミで民俗学者の折口信夫に出会い、影響を受ける。44年、同大学同学部卒業。46年、日本通信社に入社。50年、日本写真家協会創立、入会する。以後日本および世界各地を訪れ、その地方の祭りや民俗等の撮影を中心に活動。
主な出版物に「田の神」(平凡社、1959年)、「日本の祭」(保育社、1991年)、「日本の民俗 上・下」(クレオ、1997年)など多数。
1988年、オーストリア共和国ウィーン市より栄誉功労銀勲章授与。1989年に紫綬褒章、また1995年には勲四等旭日小綬章、2009年にはオーストリア国より科学・芸術功労十字章を授与される。
日本写真家協会名誉会員。
タイトル
芳賀日出男作品展 「1955-1957 自然と文化 奄美」
開催期間
2011年8月30日(火)~9月25日(日)
展示内容
1955年から1957年までの奄美の人々の暮らしや仕事、独自の発展をしていた宗教文化、亜熱帯ならではの文化を写しだした作品群をご覧いただく。
奄美諸島は独自の文化が築かれ、年中行事や宗教文化・儀礼が多々あり、血縁者だけではなく、島全体での深い繋がりを意識せざるをえない。謙虚に自然と向き合い、季節ごとに神を祀り、祖先を崇めるという、濃密に季節と調和して暮らす日本人の姿を垣間見ることができる。
人々が何を心の拠り所としていたのか、生活の何処に重きを置いていたのか、都市化と近代化によって失われつつある日本の習俗・文化の源流の意味を、民俗学の視点から捉えた作品約80点(全作品モノクロ)を展示する。
展示点数
約80点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」 半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
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