中谷吉隆 作品展 「道東―1966~1975―」
JCIIフォトサロンでは、来る2013年10月8日(火)から11月4日(月・祝)まで、中谷吉隆作品展「道東―1966~1975―」を開催いたします。
中谷氏は、1937年に広島に生まれます。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)を卒業後、新聞社写真部を経てフリーランスとなりました。新聞社在籍中から生まれ故郷ヒロシマの傷痕を捉えたり、本土復帰を果たしたトカラ列島の暮らしを人情豊かに描くなど、人々の暮らしを深く追い、悲喜を一緒に過ごし、その時代のその土地の風俗を感じ写し撮るドキュメンタリー作家として長きに渡って活躍しています。
今回の作品展は、「道東―1966~1975―」と題して、昭和40年代のほとんど未開の地であった、北海道東部での人々の暮らしを描いた作品をご覧いただきます。
北海道はオホーツク海に面した網走、北見、紋別地方と、太平洋に面した釧路、根室地方を合わせた地域が道東と呼ばれる冬の厳しい土地です。当時は奥蝦夷と呼ばれ、開拓はされているもののまだまだ未知の土地でした。
氏は昭和41年に、北方領土から網走へと引き揚げてきた人々の生活を取材に行きました。そこで、大地という風土、農業・漁業で生活を支え生きる人々の逞しさを目の当たりにし、強烈に惹きつけられたそうです。それからは透明度を誇る摩周湖、天然記念物のマリモが生息する阿寒湖、世界遺産に登録された知床半島など神秘的な自然や、オホーツク海や知床半島の鮭漁・昆布漁・牡蠣漁・コマイ漁など豊かな漁場での人々を撮りまわり、自然を相手にして暮らす沢山の人々に出会いました。昭和50年まで撮り続け、同名の写真集にまとめ写真展も開催しました。
秋の味であるサケ漁の様子や、流氷の流れ着く海でのコマイ漁、雪解けと共に番屋へと帰ってくる出稼ぎ漁師達の逞しい姿など、中谷氏は長年共に過ごしたことで男たちの勇壮な世界を描きました。そして、たくさんの動物たちと共に暮らす獣医家族、丘陵地を覆うトドマツ、エゾマツなど原生林の大自然を残す大地、農耕馬で道産子と呼ばれる馬を売り買いする馬市や酪農農家の暮らし、地吹雪のなかの町の様子など、自然と闘いながら北の国で強く暮らす人々を写しだしています。
「風の原野に立ち、ふれ合ったとき、私の心は高鳴り、疼き、魂は凝結するのを覚えた」と氏が語るように、東の未知の大地に夢を抱き、風土、原野、その地で出会った人々にのめり込み夢中で撮った中谷氏の熱い想いを感じることができる作品群です。
中谷 吉隆 (なかたに よしたか)
1937年広島県生まれ。1957年に東京写真短期大学(現・東京工芸大学)写真技術科卒業。在学中より三堀家義氏に師事、東京新聞社出版写真部を経て1960年にフリーランスとなり現在に至る。ルポルタージュ、人物、スポーツ、風景、歴史写真などの幅広い分野で活躍し、月刊・週刊誌、グラフ誌、カメラ誌等の出版物・印刷物に数多くの写真を発表。また多くの写真展を開催し、各雑誌、各写真メーカー主催の写真コンテストや県美術展の審査員を務める。日本写真家協会名誉会員。
写真集に『道東―オホーツクと原野と湖と』(朝日新聞社,1976年)、『華麗なるスポーツレディ』(日本カメラ社,1991年)、『ノーサイドの笛が鳴る』(ノースランド出版,2004年)、『神楽座Story』(清流出版,2006年)など多数。
著書に『スナップショットへの道』(朝日ソノラマ,1977年)、『AF一眼レフカメラ入門』(池田書店,1997年)、『趣味の写真入門』(日本文芸社,1998年)、『中谷吉隆のフォトハイ句!読本 写真と俳句のコラボレーション』(日本写真企画, 2009年)など多数。
展覧会に「蒼氓60年」(富士フォトサロン,1964年)、「黒の墓標」(ニコンサロン,1973年)、「広島・戦後10年」(JCIIフォトサロン,1997年)など。1964年カメラ芸術新人賞受賞。
タイトル
中谷 吉隆 作品展 「道東 ―1966~1975―」
開催期間
2013年10月8日(火)~11月4日(月・祝)
展示内容
「道東―1966~1975―」と題し、昭和40年代のほとんど未開の地であった、北海道東部での人々の暮らしを描いた作品をご覧いただく。
秋の味であるサケ漁の様子や、流氷の流れ着く海でのコマイ漁、雪解けと共に番屋へと帰ってくる出稼ぎ漁師達の逞しい姿など、中谷氏は長年共に過ごしたことで男たちの勇壮な世界を描いた。そして、たくさんの動物たちと共に暮らす獣医家族、丘陵地を覆うトドマツ、エゾマツなど原生林の大自然を残す大地、農耕馬で道産子と呼ばれる馬を売り買いする馬市や酪農農家の暮らし、地吹雪のなかの町の様子など、自然と闘いながら北の国で強く暮らす人々を写しだしている。
「風の原野に立ち、ふれ合ったとき、私の心は高鳴り、疼き、魂は凝結するのを覚えた」と氏が語るように、東の未知の大地に夢を抱き、風土、原野、その地で出会った人々にのめり込み夢中で撮った中谷氏の熱い想いを感じることができる作品約80点(全作品モノクロ)を展示。
展示点数
約80点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」 半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。