薄井大還作品展「素王の人 十二代目市川團十郎―時空の愛 芸の伝承―」
JCIIフォトサロンでは、来る2014年4月29日(火)から6月1日(日)まで、薄井大還作品展「素王の人 十二代目市川團十郎―時空の愛 芸の伝承―」を開催いたします。
薄井氏は、1940年に東京の八王子に生まれます。東京工芸大学、桑沢デザインを卒業後、小学館写真部で皇室担当を務め、その後フリーランスとなりました。ポートレイト写真を得意とし、精力的に世界の要人や著名人の撮影を続け活躍しています。
今回の作品展は、「素王の人 十二代目市川團十郎―時空の愛 芸の伝承―」と題して、氏が1982年から実に31年もの歳月をかけ追い続けた十二代目市川團十郎の観客をひきつける名演の数々や、次代の歌舞伎界を担う息子に芸を伝承していく姿を捉えた作品をご覧いただきます。
市川團十郎は歌舞伎界の最も伝統と重みのある名跡で、その歴史は300年以上にもなります。初代團十郎が創始した荒事は、大きく手を振り力強く足を踏みしめながら歩く六方や、動きを止めて睨むようにきめる見得、隈取りなど派手な扮装によって表現される豪快な芸の事を言います。團十郎が得意とした荒事は市川家のお家芸として代々継承され、それらを中心に七代目が制定したのが歌舞伎十八番になります。その後も、歌舞伎の高尚化に力を尽くした九代目、新作歌舞伎に意欲をみせた十一代目と、歴代の團十郎は常に芸の創造に全力をあげてきました。そして十二代目も受け継がれてきた伝統を守りながら、昭和の團十郎として新世代の歌舞伎の創造に全力を注いでいきます。歌舞伎の楽しさを伝えたいという想いから常に新しい試みと挑戦をしてきた十二代目ですが、特に歌舞伎の海外公演を精力的に行ったことは、世界の人に日本の伝統文化の価値を広める大きな役割を果たしました。その功績は称えられフランス芸術文化勲章、紫綬褒章、菊池寛賞など数々の名誉ある賞を受賞しています。
氏が撮影した作品には、『景清』、『勧進帳』、『助六』、『暫』など市川家のお家芸として選定した歌舞伎十八番の演目や、怪談物の舞踊劇で色悪の代表的な役『色彩間苅(いろもようちょっとかり)豆(まめ)』の与右衛門、妖艶な立ち振る舞いと美しさが際立つ新之助(現海老蔵)の『源氏物語』など、役者から溢れ出るエネルギーと迫力が捉えられ、歌舞伎の演劇・舞踊・音楽の各要素を備えた総合芸術のすばらしさや様式の美しさを感じる事ができます。そしてその伝統を後世に伝えるべく團十郎が我が子に熱心に稽古をつける姿や、まだ幼い新之助が父の想いを受け取り、厳しい稽古に励み歌舞伎役者として成長していく様子、さらに普段あまり見ることができない楽屋での和やかな雰囲気などが余すところなく写し出されています。
誠実な人柄や器の大きさ、舞台で魅せる演技は亡くなられてからもなお、多くの人に愛され続けています。薄井氏が長い年月をかけ写し続けた、十二代目市川團十郎の輝かしい軌跡を記録した作品群です。
※この展示に合わせて、5月24日(土)に薄井大還氏の講演会「素王の人 十二代目市川團十郎」撮影秘話 を予定しております。是非ご参加ください!
薄井大還 (うすい たいかん)
日本写真家協会会員(元幹事)。日本写真作家協会初代会長代行。
1940年、東京都生まれ。東京工芸大学卒、桑沢デザイン卒。
小学館写真部(皇室及びファッション担当)を経てパリヘ留学。帰国後ファッション及びコマーシャル写真を手がける。
マザー・テレサやダライ・ラマ、ネルソン・マンデラなどノーベル平和賞受賞者や世界の要人を撮り続け、「激動に生きる顔」写真展で日本芸術文化振興基金、韓国国際文化交流基金を受ける。’07~’11年ダライ・ラマ法王のオフィシャルカメラマンを勤める。
著書に、写真集『海老蔵から團十郎へ』(集英社)、『十二代市川團十郎』(マガジンハウス)、『ダライ・ラマ希望のことば』(春秋社)、『ダライ・ラマ法話」(春秋社)、『[謎終焉版]般若心経!羯諦の暗号ここに終わる』(ヒカルランド)、などがある。
2013年9月に、作品展「視線の先にあるもの」(JCIIフォトサロン)を展示、収蔵。
タイトル
薄井 大還作品展 「素王の人 十二代目市川團十郎―時空の愛 芸の伝承―」
開催期間
2014年4月29日(火)~6月1日(日)
展示内容
「素王の人 十二代目市川團十郎―時空の愛 芸の伝承-」と題し、31年もの歳月をかけて追い続けた、十二代目市川團十郎の舞台写真の数々や次代の歌舞伎界を担う息子に芸を伝承していく姿を捉えた作品をご覧いただく。
舞台写真からは、『景清』、『勧進帳』、『助六』、『暫』などの市川家のお家芸として選定した歌舞伎十八番の演目や、新之助(現海老蔵)の『源氏物語』などの役者から放たれるエネルギーと迫力が捉えられ、演劇・舞踊・音楽などの各要素を備えた歌舞伎のすばらしさや様式の美しさを感じる事ができる。
團十郎の名を深く受け止め、努力を重ねる日々。伝統を守るだけでなく、歌舞伎の海外公演を行うなど、多くの人に歌舞伎を楽しんでもらいたいという強い想い。そのような團十郎の人柄に惚れ込んだ薄井氏が、長い年月をかけ写し続けた作品約70点(全作品モノクロ)を展示。
展示点数
約70点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(ただし、祝日の場合は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。