情報官・林謙一が見た 昭和16年 富士山観測所
JCIIフォトサロンでは、来る2015年6月2日(火)から6月28日(日)まで「情報官・林謙一が見た 昭和16年 富士山観測所」を開催いたします。
幼い頃からカメラ好きだった林氏は、昭和6(1931)年に東京日日新聞(現・毎日新聞)の記者となり、日中戦争勃発後の昭和13(1938)年に内閣情報部へ移籍して、グラフ誌『写真週報』や対外宣伝写真に携わりま した。
本展では、林氏が昭和16(1941)年7月に撮影し、同年の『写真週報』8月20日号に「一万二千尺の気象台」として掲載された富士山観測所(後の富士山測候所)の写真を中心に展示いたします。
富士山の気象観測は明治初期から開始され、昭和11(1936)年には剣ヶ峰に国立中央気象台富士山頂観 測所として庁舎が新築されました。しかし、気圧が低く夏なお寒い山頂のこと、交代で駐在する気象学者は、強風の中で測風塔の計器を整備し、自家発電用エンジンを修理し、ロウソクを頼りに天気図を作成するなど苦労を重ねていました。過酷な状況でしたが、若い研究者たちは黒板に女性の絵を飾り、気晴らしに囲碁を楽しみ、 ユーモアを忘れずに過ごしています。また、登山口から頂上までの険しい山道や、後に廃れてしまった三合目 の見晴らし茶屋など、今では見ることのできない富士登山の様子も写されています。
本展の作品は、林氏のご遺族よりJCIIに託されたネガからのニュープリントです。フィルムが乏しく撮影制限が厳しい戦中に情報官だからこそ写すことができた富士山の様子が、74年の時を経てよみがえります。
☆この展示に合わせて6月6日(土)に、IZU PHOTO MUSEUM研究員の小原真史氏と本展企画担当の白山眞理によるトークショーを開催をいたします。皆さまのお越しをお待ちしております。(※要電話予約。詳細はこちら。)
林 謙一(はやし けんいち、1906 -1980)
1906年11月6日、東京府豊多摩郡千駄ヶ谷村(現・渋谷区千駄ヶ谷)生まれ。
旧制東京府立第五中学校、慶應義塾大学文学部予科を経て1931年に早稲田大学理工学部卒。同年 東京日日新聞社へ記者として入社し、社会部、学芸部、内国通信部に所属。傍ら、木村伊兵衛が創設した国際報道写真協会に参加。
1937年9月に支那事変特派員として上海を取材。1938年1月 に内閣情報部事務嘱託となり、同年2月の『写真週報』創刊や同年7月の写真宣伝政府代行機関「写真協会」(1939年に財団法人へ改組、1944年に財団法人日本写真公社へ改組)設立に携わる。
1939年に内閣情報部情報官、1940年に情報局情報官となり、1943年に海軍司政官としてセレベス民政府へ赴任。戦後は、内閣官房総務事務嘱託を経て、全日本観光連盟事業部長、同参与などを勤める。1980年11月1日逝去(享年73才)。
著書は、『報道写真集 野尻湖』(フォトタイムス社、1940年)、『おはなはん』(文藝春秋、1966年)など多数。
タイトル
情報官・林謙一が見た 昭和16年 富士山観測所
開催期間
2015年6月2日(火)~6月28日(日)
展示内容
日中戦争が深まり一般のアマチュア写真が厳しく制限される中で、情報局情報官の林謙一が、昭和16(1941)年7月に撮影し、グラフ誌『写真週報』8月20日号「一万二千尺の気象台」として掲載された富士山観測所(後の富士山測候所)の写真を中心に展示。
気圧が低く、夏なお寒い富士山頂の国立中央気象台富士山頂観測所。過酷な状況に苦労を重ねる一方で、ユーモアを忘れずに過ごしている若い気象学者たちの生活。登山口から頂上までの険しい山道や、後に廃れてしまった三合目の見晴らし茶屋など、今では見ることのできない富士山の様子が74年の時を経てよみがえる。
ネガからのニュープリント約60点(全てモノクロ)をご覧いただく。
展示点数
約60点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。