木之下晃 作品展 「石を聞く肖像」
JCIIフォトサロンでは、来る2017年10月3日(火)から10月29日(日)まで、木之下晃作品展「石を聞く肖像」を開催いたします。
「この石を見て感じたことをカメラの前で表現してください」。世界的な舞台芸術家たちに卵のような乳白色の石を渡し、自由にポーズをつけてもらい撮影されたポートレイト写真集『石を聞く肖像』(飛鳥新社、2009年)より、音楽家たちを中心に約70点(すべてモノクロ)を展示します。
木之下晃氏(1936-2015年)は、世界のクラシック音楽家の演奏する内面を凝視した作品群で知られ、「彼によって音楽がフィルムに刻印された」と語られています。しかし、一方には20代のころに出会った土門拳や林忠彦の肖像写真のようなオリジナリティあふれるポートレイトを撮りたいとの思いがありました。50代半ばにフィンランド政府から2度目の撮影招聘を受け、「違う視点で撮影を」と思索する中、“天から降って来たように”目に飛び込んできたのが、約20年机上に置いていた、河原で拾ったこの石でした。フィンランドに渡り、被写体に石を持たせて撮影に臨み、本作品の制作をスタート。20年以上かけ、氏が撮りたいと思う芸術家一人一人に了解を得ながら撮影された肖像の数は200点を超えます。
「ポートレイトは被写体に写される感動がないとだめだと気づいた。アーティストはみんなユーモアがあって、石を持っていくと自分は何をやろうかと面白がってくれる」と氏は語ります。“とっておきのポーズを…”と小石を頭の上にのせる振付家のローラン・プティや、大のサッカーファンゆえに“フットボール選手になりたかった”とボールに見立てて足にのせる指揮者のダニエル・ハーディング、“こんな芸当もできるかな”と額にのせてバランスをとる様子の指揮者のクラウディオ・アバド。世界的に活躍し、様々な芸術家と交流があった氏だからこそ実現し、ひとつの小さな石を通して芸術家たちの自由で伸びやかな様子を垣間見ることができる作品展です。
木之下 晃(きのした あきら) 1936-2015
1936年長野県生まれ。諏訪清陵高校、日本福祉大学で学ぶ。中日新聞社を経て博報堂に入社。広告写真を撮る一方で、1960年代より、ポップスからクラシックまで幅広く音楽の撮影を開始。以来一貫して『音楽を撮る』をテーマに撮影活動を続けた。1974年にフリーとなり、次第にクラシック音楽に的を絞って、「世界の音楽家」「世界の劇場」「作曲家の足跡」「音楽家のオフステージ」「ポートレイトシリーズ~石を聞く肖像」など、多彩な角度から音楽を記録。その写真からは「音楽が聴こえる」と、ヘルベルト・フォン・カラヤン、レナード・バーンスタインなど、時代を代表する巨匠達からも高い評価を得ていた。フィルムでの撮影・現像に最後までこだわり続け、生涯に撮影したフィルムは3万本に及ぶ。
1971年日本写真協会賞新人賞、1985年第36回芸術選奨文部大臣賞、2005年日本写真協会賞作家賞を受賞、2006年紺綬褒章受章、2008年新日鉄音楽賞特別賞を受賞。
写真集は『世界の音楽家・全3巻』(小学館)『The MAESTROS』(小学館)『石を聞く肖像』(飛鳥新社)など生涯約50冊を出版。写真展の開催は約100回を数える。
2015年1月12日、死去。享年78。
タイトル
木之下 晃 作品展 「石を聞く肖像」
開催期間
2017年10月3日(火)~10月29日(日)
展示内容
「石を聞く肖像」と題し、写真集『石を聞く肖像』(飛鳥新社、2009年)より、世界的な舞台芸術家に卵のような石を持たせて撮影したオリジナリティあふれるポートレイト作品をご覧いただく。振付家のローラン・プティや、指揮者のダニエル・ハーディングやクラウディオ・アバドなど世界的に活躍し、様々な芸術家と交流があった木之下晃氏だからこそ実現し、ひとつの小さな石を通して芸術家たちの自由で伸びやかな様子を垣間見ることができる作品約70点(全作品モノクロ)を展示。
展示点数
約70点 (全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(ただし、祝日の場合は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。