「写真と絵画でおりなす 下岡蓮杖の世界 Part2」
JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの42回目として、来る2022年8月30日(火)から10月2日(日)まで、「写真と絵画でおりなす 下岡蓮杖の世界 Part2」を開催いたします。10年前に当館で開催した「下岡蓮杖の世界」展の第2弾となります。
下岡蓮杖は、鵜飼玉川や上野彦馬と並び、日本の営業写真師の開祖の一人として、日本の写真界の発展に大きく貢献しました。蓮杖と他の写真師との大きな違いは、絵画の作品も多く残しているところです。今回の展示は、蓮杖の写真館があった横浜の人々を写した風俗写真と、後年に移り住んだ浅草を描いた泥絵「浅草十八番」を中心にご紹介します。
文政6年(1823)に伊豆下田で生まれた蓮杖は、画家を志し江戸で奥絵師の狩野董川に弟子入りして絵師となりますが、ある時銀板写真と出会い、その精巧な画像に魅せられて写真技術の習得を決意したと言われています。そして長年にわたる試行錯誤の末にようやく湿板写真技術を習得し、横浜で営業写真館を開業したのは、蓮杖が40歳となった文久2年(1862)でした。蓮杖の写真館は、来日した外国人相手に肖像写真の撮影や、日本の風景・風俗写真をお土産として販売することが人気を呼んで大変繁盛し、弟子も多くとりました。その間、石版画や油絵などの作品も手掛けていますが、明治9年(1876)に浅草に移住した後は写真業から退き、元の絵師に戻りました。
元々絵師であった蓮杖の風俗写真は、人物の配置やポーズのつけ方が独特で、様々な職業や習慣などを写した写真は、その人物が実際にその職業だったのか、もしくは、弟子や使用人、近所の人などが扮していたのではないかと想像を掻き立てます。
肉筆浮世絵の一種で、蓮杖が数え年79歳の時に描いた泥絵※「浅草十八番」は、後年に住み慣れた浅草の浅草寺や浅草神社にまつわる神仏を、風刺した絵と和歌で表現した十八枚の作品集です。描かれた絵と和歌を読み解いていくと、神仏の由来や当時の風潮などが見えてきます。浅草寺周辺を知り尽くしていないと完成しない作品で、足繁く浅草寺に向かう蓮杖の姿が想像できます。
この他に、源頼朝、平清盛、徳川家康など、写真の発明前に歴史に名を残した著名な人物の肖像画や木像などを基に蓮杖が絵に写し、その絵を写真に複写した肖像画写真や、手作りの香合、晩年に描かれた掛軸など、様々な蓮杖の作品も展示いたします。写真とともに、絵師や芸術家としての蓮杖作品をご覧いただくことで、彼の創り出す世界の魅力を堪能していただけると思います。
※泥絵:顔料に胡粉を混ぜた粉末の「泥絵の具」を水で溶いて描いたもの。
★この展示に合わせて、2022年9月23日(金・祝)に古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、日本カメラ博物館の古写真研究員・井桜直美とのトークショーを開催いたします。ぜひご参加下さい。(※要予約) ←終了いたしました。
タイトル
「写真と絵画でおりなす 下岡蓮杖の世界 Part2」
開催期間
2022年8月30日(火)~10月2日(日)
展示内容
日本における写真の開祖の一人として名高い下岡蓮杖は、他の写真師と異なり絵師でもあったため、絵画作品も多く残している。10年前に開催した「下岡蓮杖の世界」展の第2弾となる今回は、蓮杖の写真館があった横浜の人々を写した風俗写真と、後年に住み慣れた浅草の浅草寺や浅草神社にまつわる神仏を、風刺した絵と和歌で表現した十八枚の泥絵の作品集「浅草十八番」を中心に、源頼朝、平清盛、徳川家康など写真の発明前に歴史に名を残した著名な人物の肖像画や木像などを基に蓮杖が絵に写し、その絵を写真に複写した肖像画写真や、手作りの香合、晩年に描かれた掛軸など、様々な蓮杖の作品も合わせて展示する。
展示点数
約65点
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
※会期期間中のみ、過去にJCIIフォトサロンで開催した下岡蓮杖関連展2点の図録を特別価格で販売いたします。詳しくはこちら ※終了いたしました
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル
明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。