写真展

明治から昭和の写真館物語「写真師・宮下 欽の一族」

開催期間:2025年2月4日(火)2025年3月2日(日)
江木支店のスタジオ 中村利一(右)と五十嵐与七(左)
撮影:江木写真店 大正2年~大正10年(1913-1921) ゼラチン・シルバー・プリント 110×144mm

 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの47回目として、来る2025年2月4日(火)から3月2日(日)まで、「明治から昭和の写真館物語 写真師・宮下 欽の一族」展を開催いたします。

 信州松代藩士の家に生まれた宮下 欽は、戊辰戦争にも出征しましたが、明治維新を機に写真師を志して上京し、東京上野で横山松三郎に写真術を学びました。その後、明治8年(1875)に名古屋で写真館を開業し、明治24年(1891)に発生した濃尾地震の被災地を撮影したことでその名を知られています。明治19年(1886)には長男・守雄を上京させ、横山松三郎と親交の深かった東京九段坂の写真師・二代目鈴木真一(岡本圭三)に弟子入りさせました。守雄は修行を終え、明治24年(1891)に名古屋へ戻り欽の写真館を手伝いました。欽の写真館は、明治40年(1907)頃に閉館となりますが、13歳で欽の写真館へ入門していた中村利一は、上京して東京新橋の江木写真店に就職し、大正2年(1913)には守雄の娘・志づと入籍しました。

 中村利一は、江木写真店で活躍し取締役に昇進しましたが、不慮の事故により56歳で死去し、中村の次男・新が江木写真店に入社して父親の仕事を引き継ぎました。しかし、第二次世界大戦が勃発し、江木写真店は、昭和18年(1943)に解散へと追い込まれました。中村利一と共に江木写真店を支えていた専務取締役の五十嵐与七は、その苦境を乗り越えるため江木写真店の技師や職員、そして業務を引き受け、丸の内の東京會舘に五十嵐写真館を開業しました。五十嵐与七は昭和42年(1967)に死去しますが、新は75歳になった平成6年(1994)まで五十嵐写真館で技師として務め上げました。

 宮下 欽、宮下守雄、中村利一、中村 新と4代に渡り受け継がれた多くの写真資料が現在、玄孫の方の元に遺されています。今回は、その玄孫にあたるご子孫の協力を得て、遺された貴重な写真をご紹介します。ご子孫の元に遺された様々な写真を見ると、この一族の背景に、明治維新や関東大震災、そして第二次世界大戦と、80年ほどの間に起こった様々な試練も見えてきます。

 展示では、宮下 欽と横山松三郎によるステレオ写真、宮下守雄が発明したハテナ写真(同一人物を撮影した複数の乾板写真を重ねて印画紙に焼き付けた合成写真)、中村利一によるピクトリアリズム(技法や手法を凝らした絵画的な写真)の作品、中村 新による占領下の東京の街並みの写真や、横山松三郎や二代目・鈴木真一が関わった写真油絵(印画紙の表面の被膜を剥がし、その裏から油絵具によって彩色された写真)、初代・鈴木真一による陶器写真、五十嵐与七と菊地東洋(大正8年〔1919〕に設立されたオリエンタル写真工業の取締役技師長)が撮影した関東大震災直後の東京や横浜の惨状、さらには震災後に再建された東京新橋の江木写真店の内部など、貴重な写真をご覧いただきます。

★この展示に合わせて、2025年2月15日(土)に古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、日本カメラ博物館の古写真研究員・井桜直美とのトークショーを開催いたします。ぜひご参加下さい。


タイトル

明治から昭和の写真館物語  「写真師・宮下 欽の一族」

開催期間

2025年2月4日(火)~3月2日(日)

展示内容

信州松代藩士の家に生まれた宮下 欽は、明治維新を機に上京し、東京で横山松三郎に写真術を学び、明治8年(1875)に名古屋で写真館を開業。明治24年(1891)に発生した濃尾地震の被災地を撮影したことでその名を知られている。宮下 欽、長男の宮下守雄、守雄の娘・志づと入籍した中村利一(東京の江木写真店で活躍)、次男の中村 新(東京の江木写真店と五十嵐写真館で活躍)と4代に渡り受け継がれた多くの写真資料が現在、玄孫の方の元に遺されている。今回は、その玄孫にあたるご子孫の協力を得て、明治維新や関東大震災、そして第二次世界大戦と、80年ほどの間に起こった様々な試練も見えてくる貴重な写真をご紹介する。

展示点数

約100点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(24日は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。