写真展

近藤福雄作品展「佐渡万華鏡」

開催期間:2025年4月29日(火)2025年6月1日(日)
相川町の景勝地、千畳敷海岸の水辺で日傘をさして清遊する新穂村の芸者衆たち(大正10年)
島人たちが楽しみしている大相撲の巡業が東京からやって来た。新町大神宮境内(昭和15年)

 JCIIフォトサロンでは、2025年4月29日(火・祝)から6月1日(日)まで、近藤福雄作品展「佐渡万華鏡」を開催いたします。

 近藤福雄は、明治33(1900)年に佐渡島の富裕な農家に生まれ、17歳頃から写真に熱中し、佐渡の風景や人々を撮影しました。また、考古学・植物学・観光開発など幅広い分野に関心を寄せ、佐渡の文化事業にも多大な貢献を果たします。近藤の没後、約8,800枚のガラス乾板が佐渡博物館に収蔵されましたが、長らく人目に触れることはありませんでした。その価値を見出したのが写真家・富山治夫です。1970年代、自身の撮影で佐渡島に通っていた富山は、博物館で眠っていたガラス乾板の存在を知り、佐渡の人々の協力のもと、焼き付け、写真整理を行いました。その後、『アサヒカメラ』や『芸術新潮』などで発表したことで近藤の貴重な作品群が広く知られるようになり、1994年には富山治夫が総合編集した写真集『佐渡万華鏡 1917-1945』(郷土出版社)が出版されました。

 本展では、大正から昭和中期に近藤福雄が撮影した佐渡島を1996年に富山がガラス乾板から焼き付けたプリント70点(すべてモノクロ)を展示いたします。

 近藤は、カンカン帽に下駄履き、和服姿で暗箱カメラを担いで島内を巡り、人々との交流を楽しみながら撮影をしました。その旺盛な知的好奇心と行動力は、佐渡の風土や伝統のみならず、島を訪れた政治家や文化人の記録にもつながっています。また、作品には、初めて島を走る観光バス、海水浴を楽しむ芸者たち、神社の境内で行われた大相撲の巡業、佐渡出身の小説家・吉屋信子の姿など、戦前の風俗や暮らしが丁寧に写し取られています。これらは単なる記録写真を超え、佐渡島の文化と人々の生活を写し出す貴重な史料となっています。

 本展を通じて、近藤福雄が佐渡島に生き、見出した芸術性と作品の歴史的価値を感じていただき、佐渡島の文化と写真の魅力に触れていただければ幸いです。


近藤 福雄(こんどう とみお)
1900-1957
1900(明治33)年、新潟県佐渡郡金沢村(現・佐渡市)生まれ。金沢高等小学校卒。10代の頃から写真に興じる。佐渡を訪れた柳田國男、牧野富太郎らとの交流をきっかけに写真による記録の重要性を知る。風景、人物、民族、名勝、寺社など大正初期から昭和20年頃までガラス乾板で佐渡を撮り続けた。写真のごく一部は、岩波写真文庫『佐渡』(1953年)、『国定公園シリーズ8 佐渡・弥彦』(河出書房、1956年)などに掲載されたが、写真を生業とすることはなかった。晩年は、佐渡博物館の設立に尽力し、佐渡博物館理事を務めた。1957年、佐渡で逝去。享年57歳。

【写真集・著作】『佐渡万華鏡―近藤福雄写真集1917~1945ガラス乾板写真集』(郷土出版社、1994年)、『大正・昭和佐渡写真帖―近藤福雄誕生100年記念』(郷土出版社、2000年)など

富山治夫(とみやま はるお)1935-2016
1935年、東京・神田に生まれる。『女性自身』誌、朝日新聞出版写真部の嘱託カメラマンとして活躍し、1964年から『朝日ジャーナル』誌の連載「現代語感」の写真を分担。1966年よりフリー。2012年、旭日小綬章を受章。2016年、肺がんのため逝去。享年81歳。


タイトル

近藤福雄作品展「佐渡万華鏡」

開催期間

2025年4月29日(火・祝)~6月1日(日)

協力

佐渡博物館、Haruo Tomiyama Archives

展示内容

佐渡島のアマチュア写真家・近藤福雄が大正から昭和にかけてガラス乾板で撮影した佐渡の文化や風俗、人々など70点を展示。
近藤は、暗箱カメラを担いで島内を巡り、人々との交流を楽しみながら撮影をした。その旺盛な知的好奇心と行動力は、佐渡の風土や伝統のみならず、島を訪れた政治家や文化人の記録にもつながっている。初めて島を走る観光バス、海水浴を楽しむ芸者たち、神社の境内で行われた大相撲の巡業、佐渡出身の小説家・吉屋信子の姿など、戦前の風俗や暮らしが丁寧に写し取られている。これらは単なる記録写真を超え、佐渡の文化と人々の生活を写し出す貴重な史料となっている。

展示点数

70点(全てモノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。