写真展

古写真に見る明治の東京― 「浅草区編」

開催期間:2012年2月7日(火)2012年3月4日(日)
「吾妻橋から眺める浅草の街並み」 鶏卵紙 53×82 mm

 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの20回目として、来る2012年2月7日(火)から3月4日(日)まで、「―古写真に見る明治の東京― 浅草区編」を開催いたします。今回は、2009年から開催し、好評をいただいた「皇城(江戸城)・麹町区編」 「神田区・日本橋区編」 「京橋区編」 「芝区・麻布区・赤坂区編」に続く第5弾で、東京スカイツリーの開業を間近に控え、注目を浴びる浅草界隈にスポットをあて、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖の中の「浅草區之部」より、約80点を展示いたします。

 明治11年(1878)に施行された郡区町村編制法による15区6郡制で制定された「浅草区」は、昭和22年(1947)に隣接する「下谷区」と合併して、現在の「台東区」となりました。当時は、「日本橋区」とを分ける神田川と、東側は隅田川に囲まれ、西側は上野がある「下谷区」を境に区画されていました。もともとは田畑や低湿地帯が広がっている場所でしたが、明暦の大火(1657)の後、江戸の中心地にあった寺院や吉原が、そして天保期には市村座、中村座、森田座といった歌舞伎の芝居小屋がこの地に移され、次第に歓楽街として栄えていきました。明治期になると、浅草寺の境内は公園地に指定され、そこへ見世物小屋や飲食店が立ち並び、さらに多くの人々が足を運ぶようになりました。

 この写真帖に貼り込まれた写真は、明治4年頃(c1871)から明治20年代頃までに撮影されたものと思われるため、今回の「浅草区」の写真には、煉瓦造りの仲見世や、十二階と呼ばれた凌雲閣の写真は残念ながらありません。しかし、浅草寺の本堂や仁王門、五重塔などは徳川家光の時代に再建されたもので、昭和20年(1945)の東京大空襲で焼失する前の姿です。他にも、明暦の大火後に日本橋人形町から移転して作られ、大きな賑わいを見せた新吉原の街並み、明治18年(1885)の洪水で流される前の木製の吾妻橋、大正12年(1923)の関東大震災で焼失する前の浅草本願寺(現在の浄土宗東本願寺派本山東本願寺)、明治14年(1881)に創設された東京職工学校(現在の東京工業大学の前身)、植物園として開園した浅草奥山花屋敷(現在の花やしきの前身)など、今はもう見ることの出来ない当時の町の様子を多数展示いたします。これとは反対に、東京大空襲での焼失を免れ、今も同じ姿を見ることができる浅草神社の写真もありますので、現在の浅草の町の様子と比べながらご覧いただくのも面白いのではないかと思います。

 これらの写真が撮影されたのは、「江戸」から「東京」へ、近代化という大きな変化の第一歩を踏み出した時代です。写真からは、ガス灯が置かれている場所であったとしても、まだ江戸時代の名残をとどめている、そんな当時独特の町の空気が感じられます。ひととき時代を遡って、明治初期の浅草散歩をお楽しみ下さい。

タイトル

―古写真に見る明治の東京― 浅草区編

開催期間

2012年2月7日(火)~3月4日(日)

展示内容

2009年から開催し、好評を博した「皇城(江戸城)・麹町区編」「神田区・日本橋区編」「京橋区編」「芝区・麻布区・赤坂区編」に続く第5弾。
明治11年(1878)に施行された郡区町村編制法による15区6郡制で制定された「浅草区」は、隣接する「下谷区」と合併して現在の「台東区」となった。東京スカイツリーの開業を間近に控え、注目を浴びる浅草界隈にスポットをあて、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖より、昭和20年(1945)の東京大空襲で焼失する前の浅草寺の本堂や仁王門、五重塔、そして、明暦の大火後に日本橋人形町から移転して作られ、大きな賑わいを見せた新吉原の街並み、明治18年(1885)の洪水で流される前の木製の吾妻橋、大正12年(1923)の関東大震災で焼失する前の浅草本願寺(現在の浄土宗東本願寺派本山東本願寺)、明治14年(1881)に創設された東京職工学校(現在の東京工業大学の前身)、植物園として開園した浅草奥山花屋敷(現在の花やしきの前身)など、今はもう見ることの出来ないものも多数含まれる「浅草区」の風景写真、約80点を展示。

展示点数

約80点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル

明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。