秋山武雄作品展「青べかの消えた街―1954~1969・浦安―」
JCIIフォトサロンでは、来る2013年7月2日(火)から8月4日(日)まで、秋山武雄作品展「青べかの消えた街―1954~1969・浦安―」を開催いたします。
秋山氏は、1937年に東京下町浅草橋に生まれます。秋山氏の生家は、東京・浅草橋で明治からの洋食屋を営んでいて、生粋の浅草っ子である氏は店の手伝いの傍ら、15歳の頃から写真の魅力にとりつかれていきました。写真集団「むぎ」の代表としても活躍し、数々の賞を総嘗めにし、常に高い評価を受けるアマチュア写真家として活躍しています。威勢の良い、情の厚い人々が暮らす下町情緒溢れる浅草で生まれ育った秋山氏は、人間の表情の一瞬を切り取るのが上手いと賞賛されました。そして、昨年アマチュアカメラマン向けの大きな賞である、第18回土門拳文化賞・奨励賞を受賞しました。
今回の作品展は、「青べかの消えた街―1954~1969・浦安―」と題して、広大な埋め立て地にそびえるビル群や東京ディズニーランドで有名な現在の浦安からは想像もつかない、昭和29年(1954)から44年(1969)に撮られた半農半漁の農村で暮らす人々を追った作品群をご覧いただきます。
氏が浦安に通うようになったのは、戦争も終わって世の中が落ち着きを取り戻しだした昭和29年の初冬のことでした。父親の友人が浦安からアサリの佃煮を売りに来ては、土地の自慢話をしているのを聞いて興味を持ったのがきっかけで、17歳の氏は浅草橋の自宅から自転車で1時間もかけて通い、若き日の情熱を傾けて人間味溢れる写真を撮り続けていました。その後も東西線開通に伴い海面が埋め立てられ開発が進むまで、15年もの間こつこつと通い続けたそうです。
その昔、浦安というとアサリと海苔の町として有名で、沖合からの潮の香りが漂う、陸の孤島とも言われたほど交通の不便なうら寂しい村落でした。秋山氏が撮る以前の昭和3~4年頃の浦安を題材にして、文豪山本周五郎は『青べか物語』を昭和35年に発表しました。
「べか」とは、主に貝や海苔採りに使われた一人乗りの平底船のべか船のことで、笹の葉のような小さな形で中央に三角帆を張ることができました。この舟が舟溜りに所狭しと集まった様子や、芝居の書き割りのように立ち並んだ家、漁に使う道具の手入れをする人々、通り一面が海苔干し場へと変わる初冬の様子、凧揚げをする子供たちなど、スナップ写真の名手である秋山氏ならではの、遠く過ぎ去った日々に哀愁を纏わせながら、見守るような目線が見て取れます。
親の目を盗み、朝方に自転車を走らせ撮り歩いたという昔懐かしい浦安への、さらには17歳の少年時代に撮られたものであるが故の写真への熱い感情が込み上げてくるような作品群です。
★この展示に合わせて、2013年7月6日(土)に秋山武雄氏による講演会を開催いたします。ぜひご参加ください!
秋山 武雄(あきやま たけお)
1937年、東京下町浅草橋に生まれる。1954年、千葉県浦安町(現・浦安市)を撮り始める。1958年、NHKテレビ懸賞写真コンテストで全国1位となりテレビ出演し、木村伊兵衛氏と対談する。1963年、写真仲間と写真集団「むぎ」を作り代表となる。グループ展多数開催。NHKテレビ、民放テレビ、雑誌などで東京の古い写真を多数発表。写真集団むぎ代表、ニッコールクラブ会員、ニッコールクラブ浅草支部長。
アサヒカメラ誌年度賞受賞(1979年、1981年)、日本カメラ誌年度賞受賞・招待作家となる(1985年)、読売写真大賞受賞(1989年)、第18回土門拳文化賞・奨励賞受賞(2012年)
1982年 千葉県浦安町が市制になり「浦安、海と川のある町の詩」記念展開催
1988年 新宿ニコンサロンにて個展「スチール下町人物歳時記」開催
1999年 新宿ニコンサロンにて個展「二十一世紀への静かなメッセージ 昭和二十八年~四十二年『わたしの東京』物語」開催、同名の写真集を出版。
2001年 銀座ニコンサロンにて個展「『浦安』青べかの消えた街の詩 17歳からの視点」開催、同名の写真集を出版。
2011年 銀座ニコンサロンにて個展「昭和三十年代 瞼、閉じれば東京セピア」開催、同名の写真集を出版。
タイトル
秋山 武雄作品展 「青べかの消えた街―1954~1969・浦安―」
開催期間
2013年7月2日(火)~8月4日(日)
展示内容
「青べかの消えた街―1954~1969・浦安―」と題し、広大な埋め立て地にそびえるビル群や東京ディズニーランドで有名な現在の浦安からは想像もつかない、昭和29年(1954)から44年(1969)に撮られた半農半漁の農村で暮らす人々を追った作品群をご覧いただく。
「青べか」とは、主に貝や海苔採りに使われた一人乗りの平底船のべか船のことで、この舟が舟溜りに所狭しと集まった様子や、芝居の書き割りのように立ち並んだ家、漁に使う道具の手入れをする人々、通り一面が海苔干し場へと変わる初冬の様子、凧揚げをする子供たちなど、スナップ写真の名手である秋山氏ならではの、遠く過ぎ去った日々に哀愁を纏わせながら、見守るような目線が見て取れる。
親の目を盗み、朝方に自転車を走らせ撮り歩いたという昔懐かしい浦安への、さらには17歳の少年時代に撮られたものであるが故の写真への熱い感情が込み上げてくるような作品約80点(全作品モノクロ)を展示する。
展示点数
約80点(全作品モノクロ)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
図録はこちら
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料
無料
- 東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
- 東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
- 都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
- 都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」 半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。