写真展

　JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの27回目として、来る2014年2月4日（火）から3月2日（日）まで、「―古写真に見る明治の東京― 下谷区編」を開催いたします。今回は、2009年から開催し、好評をいただいた「皇城（江戸城）・麹町区編」、「神田区・日本橋区編」、「京橋区編」、「芝区・麻布区・赤坂区編」、「浅草区編」、「牛込区･小石川区･本郷区編」に続く第7弾で、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖の中の「下谷区之部」より、約80点を展示いたします。

　明治11年（1878）に施行された郡区町村編制法による15区6郡制で制定された「下谷区」は、現在の上野一帯あたりの地域を指し、昭和22年（1947）に隣接する「浅草区」と合併して「台東区」となりました。
寛永元年（1624）に徳川将軍家の菩提寺として上野の山に寛永寺が建立されると、この地域は門前町として栄え、上野の山は花見の名所として、不忍池は蓮の名所として賑わいを見せました。しかし、戊辰戦争時に寛永寺に立てこもった旧幕府軍の彰義隊と新政府軍の戦いで、一帯は焼け野原と化してしまいます。明治維新後、そこに医学校と病院を建てる計画が立てられたのですが、予定地を視察したオランダの医師ボードウィンが、まだ十分に残っていた上野の山の自然を見て、これは将来のためにも公園として残すよう明治政府に提言し、その結果、明治6年（1873）に上野公園は日本初の公園に指定されることとなりました。明治9年（1876）に明治天皇を迎えて開園式を行なった上野公園では、内国勧業博覧会が開かれ、「文部省博物館」（東京国立博物館の前身）や上野動物園などが開館し、次々と一般公開されるようになりました。

　今回の展示では、まだ建てられたばかりの博物館や動物園、そしてそこで開催された第2回内国勧業博覧会や、競馬が開催されていた不忍池畔の様子など、明治4年頃（ｃ1871）から明治20年代頃までに撮影されたものと思われる「下谷区」の写真をご覧頂きます。また、夏目漱石、森鴎外、正岡子規の作品の中にも登場する、上野の山下にあった人気の料理屋「雁鍋」や、広小路、そして明治17年（1884）に行なわれた上野駅の開業式の様子など、これまであまり知られていない、貴重な写真も展示いたします。

　博物館、美術館、文化会館、動物園などの文化施設が一堂に会し、春には桜のお花見で賑わいを見せる上野ですが、明治初期にはどのような様子だったのか、江戸から明治にかけて新しく生まれ変わっていく、上野の山周辺の町並みをお楽しみください。

★この展示に合わせて、古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、古写真研究家（日本カメラ博物館）の井桜直美氏とのトークショー「”古写真に見る明治の東京”を語る Part7」を2014年2月22日（土）に開催いたします！是非ご参加ください。（※要電話予約）

タイトル

―古写真に見る明治の東京―　「下谷区編」

開催期間

2014年2月4日（火）～3月2日（日）

展示内容

2009年から開催し、好評を博した「皇城（江戸城）・麹町区編」「神田区・日本橋区編」「京橋区編」「芝区・麻布区・赤坂区編」「浅草区編」「牛込区･小石川区･本郷区編」に続く第7弾。明治11年（1878）に施行された郡区町村編制法による15区6郡制で制定された「下谷区」は、隣接する「浅草区」と合併して現在の「台東区」となった。
当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖より、建てられたばかりの博物館や動物園、そしてそこで開催された第2回内国勧業博覧会や、競馬が開催されていた不忍池畔の様子など、明治4年頃（c1871）から明治20年代頃までに撮影されたものと思われる「下谷区」の写真、約80点をご覧頂く。
その他、上野の山下にあった人気の料理屋「雁鍋」や、広小路、そして明治16年（1883）に行なわれた上野駅の開業式の様子など、これまであまり知られていない、貴重な写真も展示する。

展示点数

約80点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00～17:00

休館日

毎週月曜日（祝・祭日の場合は開館）

入館料

無料

日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル

明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。